介護保険制度は介護の質を高めた
■いまの介護保険制度を上手に利用する方法
介護保険サービスは、行政は介入せずに好きな施設と契約できます。
とはいっても、実情を聞くといろいろ問題もあります。
たとえば、みなさんご存じのように費用の安い特別養護老人ホーム(特養)は空きがなく待機者が多いので、なかなか入所できません。
また、要介護3以上でないと申し込みできないので、その手前の人は在宅でがんばるか、在宅が無理と思う方は高い費用のかかる有料老人ホームに入所するしかないのが実情です。認知症のグループホームもそれなりの費用がかかります。
地方の福祉関係者からは、田舎ではサービス事業者が少ないために、行きたいデイサービスがあっても定員がいっぱいで「サービスを選ぶなんてできません」と言われたこともあります。
また、お金もかかります。介護度が上がれば料金が高くなります。お金に余裕がある人は潤沢にサービスを利用できますが、国民年金だけで細々と暮らしている人は、利用料を払えないからとサービスを控える人もいます。そういう現実的な障害についてはいろいろと聞かされます。
たしかに、介護保険制度は完ぺきではないと思います。人手不足の問題から介護の質、料金のこと、需要と供給のバランス、さまざまな問題があります。
しかし、家族がいなくても介護サービスを利用して、なんとか在宅生活を送っている方たちがいらっしゃるのも事実です。昔なら施設に閉じ込められていたような人たちが自宅で好きに暮らせるのも、この支援あってのことです。
また、介護サービスのスタッフの方たちの多くは、すごく勉強してよいケアをしようとがんばっています。
ケアマネジャーさんがデイサービスに通所するプランを立てても、「絶対に行かない」と言い張っていた男性がいました。
それなのに、デイサービスの若い男性と女性がにこやかに迎えに来たら、「行ってみるか」と腰を上げたそうです。家族は「若い人にはいい顔するから」とあきれていましたが、プロの方たちはやはりプロです。にこやかな笑顔の陰でいろいろな戦略を立てて介護してくれます。
その男性も、デイサービスに通うようになってから、だいぶ気持ちがやわらかくなり元気になったそうです。
介護保険制度は、介護の質を高めた点ではよいものだったと私は思っています。制度が始まり20年以上も経って介護に慣れ、高齢者の扱いがうまくなったと、それ以前を知る私は如実に感じます。
みなさんには、いまある制度を上手に利用していってほしいのです。あるものは上手に使う、そのための知識は最低限、備えておいたほうがいいでしょう。
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