中年になった今もポスト縮小や抜擢人事で割を食っている
就職氷河期にもかかわらず運よく大企業に就職し、正社員として働く人たちは「勝ち組」と言えるのかというと、必ずしもそうではないところに就職氷河期世代の辛さがあります。
就職氷河期世代の最後と言われているのは現在30代後半となっています。30代後半(以上)と言えば、組織では中核的な役割を担う年頃ですが、就職氷河期世代ならではの苦労も経験しています。
就職氷河期の特徴として、バブル期に企業はそれまで以上に多くの人材を採用したため、上の世代がつかえてたことがあります。
たとえば、バブル期に200人を超える新卒を採用した企業が、就職氷河期にはその半分、あるいは年によっては数十人程度の採用数に抑えたため、人員構成として上の人数がやたら多く、ポストが埋まっているのです。そのため就職氷河期世代が昇進しようとしても上に人が多すぎて、年齢に相応しいポストに就きたくても空きがないのです。
かつ、多くの企業ではIT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進むことで、年功序列も見直した管理職の少ないフラットな組織づくりが進んでいます。言わば、ポストが少なくなったうえ、そのポストをバブル期の入社組が押さえてきたため、就職氷河期世代にとっては目指すゴールにたどり着けないというか、そもそもゴールがあまりに遠くなっているのです。
さらに問題なのは、就職氷河期には期間全体を通してそもそも採用人数が少なかったため、年数を経て管理職になったとしても、いつまでたっても下が入ってこず、下の役割の仕事をやりながら、管理職的な仕事もやらなければならないという、プレイングマネジャーの時期が長く続いています。これは上の世代にはなかったことです。
上の世代の人間は経験を積み、管理職になると、プレイヤー的な役割は減り、本格的なマネジメントの経験を積むわけですが、就職氷河期世代は肝心の部下が少ないため、マネジャーとは名ばかりで、プレイヤーとしても働き、かつ成果を上げることを求められていることが多いのです。いわば、上の世代ほど本格的なマネジメントの経験を積めていないため、管理職や経営層になるための準備が不足しているのです。