介護保険は65歳になったら勉強しておく
■介護保険制度は、あくまで、こちらから働きかけるもの
要介護認定をもらうためには、役所に申請をしなくてはいけません。
介護保険料は40歳になれば自動的に健康保険料とともに払わされ、65歳を過ぎると年金から天引きされるのに、病気になり困ったとしても、役所からは何も言ってもらえません。
介護保険制度は本人が契約して選ぶ制度ですから、自分や家族が申請に行かないと何も動き出さないのです。
「足を怪我していて、家族もいなかったらどうするんだ」
そういう自分から動けないような場合でも、各自治体にある「地域包括支援センター」というところに電話すれば、訪問してくれるそうです。
まだまだ元気な私たちには関係ないと思っていても、何があるかわかりません。制度や、どこに相談したらいいかぐらいは知っていて損はないでしょう。
老いを自覚するたびに、「自分はボケるのではないか」「病気になるのではないか」と、予期不安が強まる方が多くいます。ところが、予期不安は強いのに、そのわりになぜか備えをしません。
ではどうするかといえば、不安な現実から目を逸らしてしまいます。
すると「私はボケない」という信念ができあがります。何度も言いますが、人間は老いるとボケます。程度の差はありますが、確実にボケていくのです。
転ばぬ先の杖である介護保険のことは、65歳になったら勉強しておくべきでしょう。
ところが、たいていの場合、病気や怪我で動きが悪くなってから介護保険を申請します。
「どんなサービスを利用したいですか」と支援者に聞かれても答えられない高齢者が多いとも聞きます。デイサービスという言葉は知っていても、どんなデイサービスがどこにあるのかも知りません。
そのために、すべてケアマネジャーさんにお任せになってしまいます。
不安があるなら、自分に何かあったときに「こういうふうにしたい」という計画を立てておくべきではないでしょうか。こんなデイサービスに行きたい、ヘルパーさんは何をしてくれるのかなどを考え、こちらから希望するサービスを提供してもらうのです。
介護保険制度が措置から権利となったと書きましたが、どうもまだお上から与えられる恩恵という感覚が日本人には残っているようです。
まず、その感覚から抜け出してください。
和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長
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