70代、杖を使ってでも買い物に出かけるハツラツ女性と「みっともない」と嫌がる男性の絶望未来【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

70代でも女性は迷うことなく、杖や歩行器を利用して買い物や散歩に出かけます。男性の場合は、歩行器を押してまで散歩するのは「みっともない」と嫌がる人が多いようです。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

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相性が悪いならケアマネージャーを替える

■あらかじめどういうケアを受けたいのか考えておこう

 

ある女性が、父親が担当ケアマネジャーさんと合わないようだと話していました。

 

そのケアマネジャーさんはわりと厳しく自立指導する方で、父親がうっとうしがっているそうです。「よい方なんですけど、相性ってありますからね」と仕方なさそうに言うので、「ケアマネジャーさんを替えてもらえば」とアドバイスすると、「ケアマネジャーさんって替えられるんですか?」とびっくりされました。

 

介護保険制度は、本人が選ぶサービスですから替えることの相談はできます。ケアマネジャーさん本人に言いづらかったら、事業所の所長さんに言うのがいいでしょう。たまにあることなので、「ケアマネジャーさんに悪い」と考えなくてもいいと思います。

 

デイサービスが合わない場合などは、ほかのデイサービスに替えられないかケアマネジャーさんに相談しましょう。

 

あまり意見を言ってクレーマーと思われたくないと、我慢する方も多いようです。

 

それでも、クレーマー的な言い方ではない、きちんとしたお願いや意見というのはどんどん伝えてください。介護保険料を長く払い続けてきたのですから、遠慮はいりません。

 

よくニュースで施設の虐待も話題になります。家族の方の「親が人質にとられているようで、おかしいなと思ってもよけいなことを言えない」というコメントも聞いたことがありますが、利用者も家族も何も言えない環境は、介護の堕落の始まりになります。マンネリズムに侵されていくでしょう。

 

施設のほうでも自由に意見の言える雰囲気づくりが必要ですが、私たちのほうも「お世話になっているから我慢しよう」という萎縮した考え方は捨てたほうが、これからの介護の質を上げるにはいいと私は思っています。

 

介護保険でケアを受けるといっても、まずこちらから働きかけ、それからケアマネジャーさんや支援者と本人、家族の協働作業になります。すべてお任せではないのです。

 

そのためにも、自分の受けるケアがどういうものがいいか自分で考えておくべきでしょう。

 

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    ルネクリニック東京院 院長

    1960年生まれ。
    東京大学医学部卒業。
    東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカカール・メニンガー精神医学学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院の精神科を経て、現在、ルネクリニック東京院院長。
    30年以上にわたって高齢者専門の精神科医として高齢者医療の現場に携わる。
    『自分が高齢になるということ』(新講社)、『年代別医学に正しい生き方 人生の未来予想図』(講談社)、『六十代と七十代 心と体の整え方』(バジリコ)、『「人生100年」老年格差』(詩想社)『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『80歳の壁』(幻冬舎)など著書多数。

    著者紹介

    連載人生100年時代を豊かな心で健康に生き抜くための処方箋

    本連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

    80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

    80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

    和田 秀樹

    廣済堂出版

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