社会生活において「同調圧力」と無縁でいられる人はほとんどいません。他者からの同調圧力に苦しむ人が多いのはもちろん、自分自身、無意識のうちに同調圧力に加担してしまうことさえあります。本連載では、心理カウンセラーの大嶋信頼氏が、著書『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』より、同調圧力の正体と、上手に受け流すコツや考え方について解説します。
SNS時代…「言いたいことが言える」と「同調圧力的な投稿」の違い
近年、「同調圧力」というワードを一般化させたのは、やはりSNSでしょう。
SNSの登場は、前々からあった職場等での長時間労働などのハラスメントを浮き彫りにし、それらが人の命を脅(おびや)かす、といったようなことを明白にするのに役立ちました。
しかし、今度は、ハラスメントを炙り出す働きをしていたSNSの中で、「あの人は間違っている!」という炎上や「〇〇警察」などの同調圧力のムードがはっきりと広がるようになります。
これまで頭で思っていても面と向かっては口に出されなかった同調圧力的な言葉が、SNSという対面しない場では言えるようになってしまったのです。
これは、「孤立させられる恐怖がないから、SNSでは同調圧力に屈せずに好きなことを言える」と、とれるかもしれません。
でも、多くの場合、SNS上で実際になされていることはどうでしょうか。
そこにあるものは、「我慢していた言いたいことが言えるようになった」ではなく、「世の中的によいことだと信じられているもの(慣習やルール等)を、そこに適応できない人に押しつけるようになった」ではないでしょうか。
つまり、「同調圧力に屈しないようになれた」のではなく、むしろ多数派の考えを仕入れて同調圧力に流され、従った。そのうえで、孤立する心配のなくなった自分が「同調圧力を発生させる側」になり、ボロを出して突如少数派に転落したような人を攻撃しているだけ、というわけです。
そして、このSNS発の同調圧力に代表される厄介なところは、そこに加わった人がボロを出した一人を傷つけても、「みんなが思っていることを自分が代弁しているだけ」「自分は間違った人を正しているだけ」「悪いことをやった人が罰を受けただけ」といった認識になりがちなことでしょう。
SNSでは多数派・孤立しないことを背景に、正義を押し売りして公然と人を罰するところまでいってしまったのです。
株式会社インサイト・カウンセリング
代表取締役
米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。ブリーフ・セラピーのFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。
アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研究生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、株式会社アイエフエフ代表取締役として勤務。心的外傷治療に新たな可能性を感じ、株式会社インサイト・カウンセリングを立ち上げる。多くの人が自由に生きられることを目指し、治療を行なっている。
カウンセリング歴29年、臨床経験のべ9万件以上。ブログ「緊張しちゃう人たち」や会員制オンライン講座「無意識の旅」をほぼ毎日更新している。
著書に『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)、『「空気読みすぎ」さんの心のモヤモヤが晴れる本』(永岡書店)、『孤独とお金の不安から解放してくれる25の呪文』(主婦の友社)、『ミラーニューロンの彼方へ! 支配からの解放』(青山ライフ出版)、『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』(祥伝社)等多数。
●緊張しちゃう人たち
http://insight-fap.jugem.jp/
●無意識の旅
https://m2191204.megadoga.com/
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連載現代人必見!心理カウンセラーが語る「誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法」