(※写真はイメージです/PIXTA)

社会生活において「同調圧力」と無縁でいられる人はほとんどいません。他者からの同調圧力に苦しむ人が多いのはもちろん、自分自身、無意識のうちに同調圧力に加担してしまうことさえあります。本連載では、心理カウンセラーの大嶋信頼氏が、著書『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』より、同調圧力の正体と、上手に受け流すコツや考え方について解説します。

「同調圧力」を前向きに使うと、組織の力をアップさせることも

プレッシャーは伝播する

「同調圧力を活用する方法」をお伝えしましょう。私がこの同調圧力のすごさに気がつくことができたのは、アメリカにいた学生時代でした。

 

その発端は、物理の授業のときに、マサチューセッツ工科大学の博士号を持っている厳しい教授が、「5人のグループになってこの計算式を解いて、実験で成功したグループから帰っていいぞ!」と珍しいことを言ったことからです。

 

その教授は、いつも講義の手を抜かない人なので、早く帰れることなんて考えられません。

 

でも、私を仲間にしてくれたグループは「みんなで計算を分担して誰よりも早く20分で帰って教授の鼻を明かすぞ!」と、集まるなりすぐに計算をそれぞれのメンバーに割り振りはじめました。

 

すると、私も「自分が間違ったらメンバーに迷惑がかかる」という適度なプレッシャーがかかったので、計算の速度がいつもより上がります。

 

その結果、次第に周りのメンバーの問題を解く熱量も上がっていきます。

 

そして、見直しで間違っていないことを確かめて「できた!」と手を挙げると、他のメンバーも同時に「できた!」と手を挙げ、みんなの計算を持ち寄って教授の前で実験を開始しました。

 

しかし、教授はそんなに早くできてしまう心づもりではないので、「君たちは早すぎるから、絶対にこの実験は失敗するよ!」と馬鹿にしたような顔をします。

 

でも、私は「いや、教授、ほら見てください! ちゃんと計算は合っていますから!」とお願いをして実験をしたところ、本当に20分で成功してしまいました。

 

ちなみに、この実験は2時間かかっても成功させられなかったグループがあり、私たちの次に早かったグループでも1時間半かかったぐらい、難易度の高いものだったのに、です。

 

また、別の日には、大学のバレーボール大会があって、バレーボールが大好きだった私は、全然知らない人たちのチームになぜか入れてもらえました。

 

「よーし! 勝つぞ!」とみんなでかけ声をかけて、試合に臨みます。

 

私は「せっかくチームに入れてくれたのだから、みんなに迷惑をかけないように頑張らなきゃ!」と、ここでも適度な同調圧力を感じながら、試合に参加します。

 

すると、みんなにも適度な同調圧力が伝播したのか、ミスをするとアメリカ人らしくもなく「ミスしてごめん! 次は頑張る!」と声をかけてきます。

 

そうなると、みんなも「気にするな! がんばれ!」とさらに励まし、協力し合って、お互いのミスをカバーしながら何試合も勝ち進んで、いつの間にか学校内で優勝してしまったんです。

 

こうしたチームワークというべき同調圧力は、いわゆる「自由を奪って人の能力を発揮できないようにする同調圧力」とはニュアンスが違っています。

 

むしろ、お互いの能力を引き出して、チーム内にすごい力を発揮させることができたのです。

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誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法

誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法

大嶋 信頼

祥伝社

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