社会生活において「同調圧力」と無縁でいられる人はほとんどいません。他者からの同調圧力に苦しむ人が多いのはもちろん、自分自身、無意識のうちに同調圧力に加担してしまうことさえあります。本連載では、心理カウンセラーの大嶋信頼氏が、著書『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』より、同調圧力の正体と、上手に受け流すコツや考え方について解説します。
「同調圧力」は、自分ができていないことの裏返し
では、なぜ世の中は同調圧力に満ちあふれているのか。
それは、相手の過ちを見ていたほうが、自分の幼さを見る必要がなくなるからです。
相手の幼さばかりを見て怒っていれば、自分自身が成長していないことには目を向けずに済みますよね。
でもこれこそが、“大人”として自立していない、自分自身の言動に責任をとっていない、ということなのです。
ですから、自分の心の内側に注目してみましょう。
「あの人は間違っている!」と同調圧力チルドレンになってしまっているときに、自分の心を見つめてみてください。
すると、「あ! 人の悪いところを指摘することで、代わりに安心を得ていたんだ!」「実は、自分の中に見たくないものがいっぱいあるのかも……」ということが、わかってきます。
考えてみれば、本当に自分のやるべきことで一生懸命な“大人”というのは、自分の人生そのものに対して果たすべき責任で精いっぱいですから、他人に干渉しているヒマなんてきっとありませんよね。
つまり、同調圧力に翻弄(ほんろう)されているということは、“子ども”のままで見ないようにしてきた、果たせていない責任がたくさんある、ということでもあるのです。「自分にはできていないことがたくさんある」ということを見たくない、と思ってしまうのは、同調圧力に流されてしまって“子ども化”しているから。
だから、「いま、自分は同調圧力チルドレンになっている」と認めてみると、自分自身が本当にやるべきことに再び目がいくようになります。
流されずに「自分が本当にやりたかったことをやってみる」と決めると、しっかりと自分の足で立ち、同調圧力とも無縁な“大人”になっていけるのです。
大嶋 信頼
株式会社インサイト・カウンセリング
代表取締役
株式会社インサイト・カウンセリング
代表取締役
心理カウンセラー、株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。
米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。帰国後、心理カウンセラーとして臨床現場に立ち続け、クライアントが抱えるさまざまな悩みに寄り添ってきた。長年の現場経験をもとに、短期療法である「FAP 療法(Free from Anxiety Program)」を開発。トラウマや不安、自己否定、対人関係の問題など、これまで「解決が難しい」とされてきた心の問題に対しても、無意識の力を活かしながら根本的な変化を促す手法として高く評価されている。
これまでに数多くのカウンセリングを行いながら、講演活動や執筆活動も精力的に行っており、そのわかりやすく実践的なメソッドには多くの支持が集まっている。
著書に、『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』(ダイヤモンド社)、『脳を休めればすべてがうまく回り出す』(WAVE 出版)、『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)、『「与えあう」ことで人生は動きだす』(青春出版社)、『催眠ガール2』(清流出版)など、多数ある。
●緊張しちゃう人たち
http://insight-fap.jugem.jp/
●無意識の旅
https://m2191204.megadoga.com/
著者プロフィール詳細
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連載現代人必見!心理カウンセラーが語る「誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法」