認知症にはいろいろな種類がある
■認知症はひとつではない――必ず「専門医」に診断を
認知症といっても、認知症にはいろいろな種類があります。
ちなみに認知症は、病気の呼び名ではありません。認知症という状態を表す言葉です。認知症の状態になった原因疾患があるのです。
物忘れが始まると「認知症ではないか」と心配する人、「認知症にならないでよ」と注意する家族がいます。心配しても注意してもなるものはなるのですから、不安がある場合は専門医に診てもらってください。
最近は、内科クリニックでも簡単に認知症の薬を出したりしますが、認知症の薬は認知症を治すためのものではありません。
一般的には「進行を遅らせる」ですが、これも効果のある人とない人がいます。
早期に服用したほうが効果が出るともいわれますが、効果がないときは漫然と服用しないほうがいいかもしれません。
「副作用はあまりありません」と説明を受けたという人もいますが、薬というのは副作用があるものです。その影響は人によってだいぶ違います。
一般的には、内科で出された認知症の薬を飲み続けるより、専門医に画像診断や認知症テストを受けて、きちんと診断されてから対策を考えるほうが望ましいのですが、地域医療を行う内科医のほうが認知症の対応に慣れている人もいますし、精神科医でも高齢者のことはよくわからない人がいるので、まずケアマネジャーや地域包括支援センターで医者の評判を聞いて受診するのが賢明です。
私は、後述する「アルツハイマー型」でも「脳血管性」でも「レビー小体型」でも治療薬はなく、進行性で対応に大きな差はないので、あまり原因疾患にこだわる必要はないと考えていますが、認知症の原因疾患を知ったほうがいい理由は、認知症の状態があっても治療できる疾患が原因の場合もあるからです。
認知症のような症状が出てきて調べたら、脳腫瘍があったり、甲状腺機能低下症であったりすることもあります。まれにですが、「正常圧水頭症」という病気のときもあります。
正常圧水頭症は、脳内でつくられる脳脊髄液が脳室にたまることで、周囲の脳が圧迫されることで認知症と似たような症状が出てきます。これは脳脊髄液の流れを脳室以外に流す手術をすれば治ります。これはCTスキャンをするとすぐにわかります。
こういうことがあるため、認知症のような症状があったときは専門医に診てもらってほしいのです。
また、前述のようにうつ病でも認知症に似た症状が出ます。この場合は、薬物治療が有効ですし、本人の気分もよくなります。
ですから、ひとくくりに認知症とまとめてしまわないで専門医の受診が重要なのです。
和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長
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