(※写真はイメージです/PIXTA)

筋トレ初心者の場合、いくつかの挫折ポイントがあります。人によってさまざまですが、必ず起きる「何も変わらない」というジレンマです。還暦から筋トレを始めた城アラキ氏が著書『負けない筋トレ 還暦から筋トレにハマったら、「肉体」と「人生」が激変した!』(ブックマン社)で解説します。

フリーウエイトの方が心理的な充足感が高い

■フリーウエイトとマシンの利点と欠点

 

昔ながらのダンベルやバーベルを「フリーウエイト」という。その名のとおり、このウエイト=「錘(おもり)」はフリー(自由)に動くため一定のトレーニング動作を行うためには、自分でバランスを取らなければならない。これによって体幹が刺激されるメリットもある。

 

ただし、重力方向に対してしか筋肉に刺激を与えられない。たとえばダンベル・フライとマシンのフライを比較するとわかりやすい。ダンベル・フライではダンベルを胸の真上に持ち上げ、ここからゆっくりと両腕を開いてダンベルを降ろし、降ろしきったら、今度はダンベルで円を描くように真上に上げる動作を繰り返す。

 

このとき、ダンベルの負荷は両腕を一杯に広げたときが最大で、上に持ち上げるに従って軽くなる。これがマシンだと最後の最後、腕を閉じて大胸筋をいちばん収縮できるポイントまで負荷が抜けない。

 

しかも体の各部位に特化したマシンは、プレートを落とす危険がなく、フォームが安定しない初心者でも軌道が一定で扱いも楽だ。姿勢を保持するのも簡単にできるので、狙った筋肉だけに意識も集中しやすい。唯一の注意点は、椅子の高さだけは必ず正しい位置にセットしないと狙う筋肉から動きが外れてしまうことだ。ついつい横着をするが、トレーニングの記録欄に椅子の位置(たいがい数字が刻んである)も、書いておく。

 

ではトレーニングは全部マシンでいいじゃないか、と思うだろうが、これは違う。マシンのいちばんの欠点はその「摩擦抵抗」にある。と、トレーナーの鈴木さんに言われたときは、意味がわからなかった。こういうことだ。仮にベンチプレスなら、基本は1秒で上げて2秒で下げる。下げる方に時間をかける。筋肉は上げる力(これを「コンセントリック」という)より下ろすときの力(これを「エクセントリック」という)の方が強く余裕があるからだ。

 

ところがマシンでは、筋力が弱い挙上のときに摩擦のために負荷はむしろ重くなり、筋力に余裕がある下げるときに摩擦のために負荷は弱くなってしまう。結果、筋発達のきっかけとなる、強い刺激による筋損傷が起こりにくくなってしまうのだ。

 

一般に経験者がマシンよりフリーウエイト中心のトレーニングを多く行うのも、フリーウエイトの方が細かく丁寧に筋肉に刺激を加えやすいためだ。初心者も少しずつフリーウエイトに慣れていった方がいい。他にも理由がある。これは私の個人的な感想だが、フリーウエイトの方が緊張感も達成感も、つまり心理的な充足感がマシンより高いのだ。

 

城 アラキ
漫画原作家

 

 

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本連載は、城アラキ氏の著書『負けない筋トレ 還暦から筋トレにハマったら、「肉体」と「人生」が激変した!』(ブックマン社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

負けない筋トレ

負けない筋トレ

城 アラキ

ブックマン社

『ソムリエ』『バーテンダー』など、数々のお酒にまつわる傑作漫画の原作を手掛けてきた著者は自他ともに認める酒呑みであり、美食家だ。3日に一度は暴飲暴食。仕事柄、1日の歩数が500歩なんてザラだった。運動もしない日々を…

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