トレーニングを途中で止める原因はケガ
【プログラムの実際】
■超初心者がひとりでトレーニングできる基本プログラム
ここからはさすがに私ひとりの素人知識と経験では説得力もないので、トレーナー鈴木さんの意見に従っている。安心して信用していい。
このプログラムの特徴はトレーニーの年齢と経験を考え、とても慎重で無理がないことだ。何よりもケガがなく続けられることをいちばんの目的にしている。続けさえすれば筋トレは必ず効果が現れる。
筋トレに、もしいちばんの障害があるとすれば、この、トレーニングを途中で止めてしまうこと。そして、そのいちばんの原因がケガなのだ。
このプログラムも男性で60歳くらいなら、運動経験がなくても簡単にできてしまうかもしれない。だからといってすぐに回数を増やさないこと。
しばらくはフォームを覚えるためと考えて丁重に動くことが大切だ。そしてくれぐれもやり過ぎないことだ。最初は物足りないというところで終える。自宅でもできるので、まずはここから。
以下のトレーニングメニューは各10回を2セットずつ行う。通常は10回3〜5セットをすすめられることが多いが、まったくの初心者の場合、2セットでもキツいと感じることもある。オーバートレーニングを防ぎ、翌日の筋肉痛を予防するためにも、最初は2セットから。
ウォームアップ不要説もあるが、初心者の場合はやはり必要。各部を曲げ伸ばす静的ストレッチは反動をつけず各部位をゆっくり伸ばす動きで。
種目と種目の間、休憩時間1分の間も、使った部位をストレッチで伸ばした方がいい。③のチェストプレスは自宅ならプッシュアップ(体力によっては膝をついてもいい)で。①⑧はニーアップ(もも上げ)に。⑥のフロントプルダウンは斜め懸垂やゴムチューブがあればこれを引き下げる動きに。
①ウォームアップ(10分)エアロバイクなどで体を温める。
②静的ストレッチ(5分)
③胸──チェストプレス(マシンのベンチプレス)10回2セット
④脚──スクワット(自体重)10回2セット
⑤背中──デッドリフト(自体重)10回2セット
⑥背中──フロントプルダウン(マシン)10回2セット
⑦腹部──シットアップ(自体重)10回2セット
⑧トレッドミル、バイクなど有酸素運動
⑨クールダウン ストレッチ
このプログラムはいわゆる「BIG3」(ベンチプレス、スクワット、デッドリフト)が中心になっている。その目的は何か。たとえばベンチプレスなら体の前面=胸・肩・腕に刺激が及ぶ。スクワットなら腰から下がまんべんなく刺激される。体の背部=デッドリフトだけは背筋のトレーニングとしてはやや不足なのでマシンを使ったフロントプルダウンが加わっている。これに腹筋を加えて全身すべてが完了する。このトレーニングを週に2回が初心者には適当な運動量となる。
■REPSとRM
筋トレ本を読んでいると必ず出てくるのがこのREPSとRMという単語だ。レップ=REPS(Repetitions =反復)は1セットのなかでの挙上回数。10レップで1セットとあれば、10回上げて、これで1セットということだ。
これとは別にRM(Repetition maximum =最大反復回数)という言葉もある。
こちらは少々ややこしい。あなたが上げられる最大の重さ、たとえばあなたの「RM1=60㎏」なら「1回で上げられる最大の重さが60㎏」ということになる。なぜ最大筋力を知る必要があるのか。実は筋肉は最大筋力の何割の重さを上げるかによってトレーニング効果が変わってくるのだ。
・筋力を高めるためには1〜5回で限界の重さ
・筋肥大させるためには6〜18回で限界の重さ
・筋持久力を高めるためには19〜30回で限界の重さ
平均すると8回〜12回。この中間をとって1セット10回という回数が標準なのは、筋力・筋肥大・筋持久力のすべてにまんべんなく効果が及びやすい回数だからだ。