「挫折ポイント」初心者と経験者の違い
■初心者の壁
しかし初心者の場合、いくつかの挫折ポイントがある。まずは筋肉痛だ。何年ぶり、何十年ぶりに突然筋トレなどすると、翌日、ないし翌々日の筋肉痛は「ベッドから起き上がれない。筋トレなんて絶対ムリ!」と思わせるほど強烈だ。この壁は丹念なストレッチと「モーラステープ」を貼りまくって乗り切るしかない。
ちなみに、後で述べるトレーニング方法の実際では、この最初の筋肉痛を避けるためトレーニング量をかなり調整している。ちなみに筋肉痛はトレーニングに効果があった証明にはならない。筋肉痛が起こらないとトレーニング不足かと心配になるが、そんなことはない。
次の壁は人によってさまざまだが必ず起きる。「何も変わらない」というジレンマだ。最初のうちこそ扱う重量は日に日に、面白いように増える。自体重のスクワットを10回やるだけで悲鳴をあげていたのが、20㎏のバーベルシャフトを担げるようになる。
ただしそれが30㎏、40㎏となると伸び率が低下してきてやがて止まる。どうやっても上がらない。そのくせ体重は減らないしもちろん見た目も変わらない。食事を減らしたり増やしたり、サプリを飲んでみたりしてもピタリと止まって動かない。これが壁だ。
初めて筋トレをすると、この壁は自分だけに訪れるもので、だから自分には筋トレなど向かないと考えてしまう。そのうち飽きてやる気がなくなる。違うのだ。実は10年、20年と筋トレを続けているコンテストビルダーでも、レベルは違えど必ず何度も何度も壁に当たって悩んでいる。
では初心者と経験者の違いは何か。経験者は「壁は必ず訪れる。そして打ち破れる」と、わかっていることだ。こんなことを原作に書いたことがある。
「壁が行く手をさえぎっているんじゃない。
立ちはだかる壁の前までようやくたどりついたんだ。
あとは超えるだけじゃないか」
90日間だけは変化を信じて頑張ってみよう。
■初心者のトレーニング時間は45〜60分を超えない
トレーニングは時間から内容を逆算する。基本は45分から長くても60分。これは体力に加え集中力を維持するのに限界があるため。気がつくと漫然とただ回数だけをこなしていることも多い。危険だし効果も薄い。
トレーナーがついている場合は、プレートのセットをやってもらえるが、ひとりの場合はプレートのセットにも1分ほどかかる。仮に1種目が1セット=3秒(上げるのに1秒、下げるのに2秒)×10回=30秒。休憩1分で3セット行うとすると合計最短でも210秒かかることになる。余裕を見て約4分。トレーニング時間を仮に45分とすると、前後のストレッチを除くとトレーニングは6〜8種目が限界だ。
よくジムで、目に付いたマシンを1、2セットやっては次から次へ移っていく人がいるが、あれでは正直、まったく効果はないと思う。これを防ぐためにもキチンとしたプログラムが必要になる。