(※写真はイメージです/PIXTA)

投票用紙に書きたい候補がいない場合、「該当者なし」は無効票などとして扱うのではなく、該当者なしの新たな項目として結果を公表するのです。投票率は上がるかもしれません。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)で解説します。

大きなビジョンを描くのが政治家の仕事

■「政治業」に終止符を、「政治家」はどこに?

 

日本の未来を託せる政治家はいますか。こんな問いかけに、顔が思い浮かんでくる政治家は何人いますか。真の「政治家」は何人いるのか。政治が「業」になってしまっている「政治業」の人も多いのではないかと思います。

 

本人は、その選挙区の有権者や国家のために働いているつもりでも、政治の本質を追究し切れずに流されている人たち。国民の税金から多額の給料をもらいながら、「政党は年功序列だから」とか、「ひとりでは簡単に変革できない」といった言い訳をしてあきらめる。「前例がありませんから」と言って、動かない人もいます。

 

前例を創るために、必死になって大きなビジョンを描くのが政治家の仕事です。政治の仕組みが歪んでいるのなら、政治家のみなさん自身が変えてください。国民の心を動かすには、圧倒的な努力が必要です。国民の目に見えないところで、懸命に汗をかいている政治家は何人いますか。次の選挙に勝つためだけの汗ではありません。目の前にいる弱者の人々を助け、社会の未来を切り拓くための汗です。

 

モリカケ問題。桜を見る会の問題。検察官の定年延長問題。長期政権の弊害だったのでしょうか。安倍政権には根深い問題が多かったと指摘されます。安倍首相、閣僚、与党議員、省庁の公務員。みなさん、いずれも自分では頑張ったつもりでしょう。

 

しかし、やるべき仕事の本質がどこまで見えていたのか。不透明な問題を生じさせた人たちは胸を張って「政治家」だと言えるのでしょうか。国家の信用がかかった重要な事実を闇に葬ることがあるとすれば、それは明らかに間違っています。

 

「真剣に国民のことを考えて行動できている国会議員は少ない。10人のうち1人くらいかもしれない」

 

知人の永田町関係者はこう言います。次の選挙に通るために大事な時間を費やす。金を工面し、時に借金もし、時に忖度し、時に志を曲げる……。資金力がない国会議員の多くは、「業」として動かざるを得ない部分があり、大変だと知人は指摘します。

 

「いったん議員になったら立ち止まれない。常に酸素を求めて泳ぎ続けるマグロのようだ」

 

こうした言葉がどこまで政界全体の実態を表しているのか分かりません。しかし、政治業の人たちには、かつて抱いた自分の志をもう一度思い起こしてほしいと思うのです。

 

■「該当者なし」投票に新たな選択肢を設けたらどうなるか

 

「君たち、必ず投票に行きなさい。もし君が投票しなかった場合、結局は、選挙で勝利した候補に投票したことになるんだ」

 

大学時代、政治学の教員がこう熱く語っていました。投票しなければ、結果的に、勝利した候補者を支持した結果になるという考え方です。その授業の時は、なるほどと納得し、極力、投票に行くようにしてきました。

 

選挙の投票は極めて大事です。しかし、本気で投票したいのに、投票するのにふさわしい候補者がどうしても見当たらない時、私たちはどうしたらいいのでしょうか。

 

知人はある選挙で、投票用紙に「該当者なし」と書きました。しかし、これでは、無効票としてカウントされてしまうのでしょう。でも、本当にふさわしい候補がいなかった場合、消去法で残った候補の名前を書きたくない場合、どうしたらいいのでしょうか。

 

投票用紙に書きたい候補がいない有権者のために、「該当者なし」を選ぶ制度を新設したらどうなるのでしょうか。「該当者なし」は「無効票」などとして扱うのではなく、「該当者なし」の新たな項目として結果を公表するのです。「該当者なし」も有権者の立派な意思表示として認めるのです。投票率は上がるかもしれません。

 

例えば、「該当者なし」の票数や率が多かった場合、勝った候補者や政党には、相応のプレッシャーになり、政権や政策の運営に何らかの影響を与えるかもしれません。新たな緊張感を生み、本物の政治家を真剣に見いだそうとするエネルギーを生み出すきっかけになるかもしれません。様々な意見があると思いますが、みなさん、いかがでしょうか。

 

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    本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)より一部を抜粋し、再編集したものです。

    自考

    自考

    岡田 豊

    プレジデント社

    アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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