「日本の奇跡」と評する海外メディア
■世界が称賛した日本人、同質社会の強みと弱み
2011年3月11日に起きた東日本大震災。未曽有の原発事故も発生。大勢の人が犠牲になりました。被災地では大勢の人が昼夜なく必死に生き抜こうとしていました。
震災から数日後、海外メディアが報じた日本人のニュースのことをよく覚えています。
「これだけの大災害なのに、暴動などが見られないのはなぜか。日本には敬意と品格に基づく文化があるからだ」
「我々も日本から学ぶべきだ。同情の気持ちと深い尊敬の念を表したい」
各国のメディアは、被災地のスーパーやコンビニなどで、冷静に整然と並ぶ住民の長蛇の列や、節電のために自主的にネオンが消された都内の繁華街の様子を伝え、日本人を称賛しました。
「日本の奇跡」と評する海外メディアもありました。
「大災害に対して冷静に秩序正しく対応し、安定した、礼儀正しい社会であることを示している」
「日本という国の芯の強さに世界の称賛が向けられている」
「悲劇は計り知れないが、日本が持つ非常に魅力的な面をこの悲しい出来事が示している」
こうした報じ方を見て、日本人は素晴らしいとあらためて認識しました。同様の災害が起きた場合に、暴動や大混乱が起きてしまう国もあるでしょう。
「日本人は礼節を心得ている」「自分が我慢し、他人を思いやることができる」といった評価は的を射ていると思います。
ここから話が飛びます。震災時のこうした日本人の素晴らしい評価の後で、こんな話をするのはとても気が引けるのですが、海外には「日本社会は同質性が高いから混乱が起きにくい」という分析もあります。
「自己主張を我慢する」「他人の顔色をうかがう」「出る杭になると打たれるから、それを避ける」
こうした特徴があるために、混乱が自己抑制されるという分析です。別な角度からは「個性を我慢しなければいけないために平均値に押し込められ、同質な社会になっている」といった見方もあります。
どこまで本質を突いた分析なのか分かりませんが、同質社会は、混乱が起きにくいという強みを持つ一方で、個性を発揮しにくいという弱みがあるのかもしれません。