(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者はダイエットはやらないほうがいい。ダイエットをすれば筋肉も減るのは確実だからです。太り過ぎを気にするのなら、身体を動かすほうがいいといいます。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

ダイエットをすれば筋肉も減る

■ダイエットなんて、とんでもない

 

いまの中高年以降の方たちは、おしゃれに気をつかう方も多いと思います。女性も男性もファッション誌華やかな時代を過ごしてきました。たくさんの雑誌やテレビの影響をいちばん受けている世代と言ってもいいでしょう。

 

そのためか、高齢者の仲間入りをしているのに、ダイエットをしようと考える人がいます。

 

重い糖尿病や何かの病気のために食事制限がある方なら仕方がないのですが、高齢期に入るところでのダイエットはやらないほうがいいでしょう。

 

理由は、ダイエットをすれば筋肉も減るのは確実だからです。少し太り過ぎを気にするのなら、身体を動かしてほしいと思います。

 

少し太っているほうが長生きするという研究もあります。

 

かつて宮城県で大規模調査したときも、痩せ型の人より少し太目な人のほうが、6年から8年平均余命が長かったのです。

 

メタボ検診では、腹囲を計って男性が85センチ、女性が90センチ以上だとメタボリック症候群のリスクのひとつになります。

 

理由のひとつとして、肥大化した内臓脂肪細胞から分泌される生理活性化物質アディポサイトカインが糖尿病や高血圧の原因になる、というものがあります。そういう細胞研究もたしかに正しいのですが、すごい肥満体の人にはそれは当てはまっても、少しふっくらしている人の場合、心理的なことを含めて、十分に栄養をとるメリットのほうが大きいのです。

 

あなたのまわりを見ても、少しふっくらしている人のほうが元気で活動的ではありませんか。先にカトリーヌ・ドヌーヴに憧れている人のことを書きましたが、現在のカトリーヌ・ドヌーヴはけっこうふっくらしています。西洋の方は、若いときは細身ですが、中年以降には太った肝っ玉母さん的になってきます。

 

それは、健康的に人間の正しい道なのかもしれません。

 

日本人はスタイルを気にし過ぎて、高齢になっても貫禄がないものです。少し太目で健康的な人はそれだけで元気に見えます。

 

私の知り合いである有名な学者さんがいました。女性でしたが太っていて貫禄がりました。しかし、あるとき見かけたらずいぶん痩せていて心配しましたが、その後、病気になられ、すぐに亡くなってしまいました。

 

世の中には食べても太らないという方がいます。そういう方は栄養が十分なので、いいのですが、スタイルを気にしてダイエットする、つまり食餌を減らすのは、免疫力にも影響します。また、人間は美味しいものを食べるときに脳の前頭葉が刺激されます。

楽しく好きなものを美味しく食べる。少々太めでも健康な生活で寿命が延びるようにしたいものです。

 

和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

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本連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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