電磁波は人間に健康被害をもたらす
■電磁波について
我々に身近な太陽の光も電磁波で、太陽光をプリズムに通すと虹のような光の帯―赤色から紫色までの多彩な光―を楽しむことができる。それぞれの色の光も電磁波で、色の違いは周波数の違いからきている。下図をみると、左側にいくと周波数は低く、右側にいくと周波数は高くなることがわかる。
電磁波は、テレビや携帯電話、GPS、電子レンジなどの電気製品など様々な用途で利用され、我々の生活やビジネスにおいて不可欠な存在になっている。
一方で、電磁波は人間に健康被害をもたらすこともある。例えば、スマートフォンから出ている電磁波は、睡眠障害、頭痛、倦怠感、疲労感、吐き気、肩こり、アトピーの原因、不妊や胎児への影響なども懸念されている。
これらの指摘については、現時点では明確な証拠や科学的根拠は示されていないが、個人的にはスマホを使用する時間を短くすると倦怠感が減少すると実感している。また、スマホの過度な使用は、身体への悪影響のみならず、スマホ依存などの精神的な悪影響が指摘されている。要注意だ。
■電磁波の軍事利用
防衛分野において電磁波はなくてはならない存在で、指揮統制のための通信機器、敵の発見のためのレーダー、ミサイルの誘導装置などに使用されている。電磁波領域において敵に対する優勢を確保することは、現代戦では必要不可欠である。電磁波領域を利用しておこなわれる活動には「電子戦」と「電磁波管理」があり、電子戦の手段や方法は一般的に、「電子攻撃」「電子防護」および「電子戦支援」の三つに分類される。
「電子攻撃」は、強力な電波や相手の発する電波を装った偽の電波を発射することなどにより、相手の通信機器やレーダーから発せられる電波を妨害し、通信や捜索能力を低減または無効化することとされる。電波妨害(ジャミング)、電波欺まんのほか、高出力の電磁波(高出力レーザー、高出力マイクロ波など)による対象の物理的な破壊も電子攻撃に含まれる。
「電子防護」は、通信機器やレーダーが電子攻撃を受けた際、使用する電磁波の周波数の変更や、出力の増加などにより、相手の電子攻撃を低減・無効化すること、装備品の形を相手から探知されにくくすること(ステルス化)をいう。
「電子戦支援」は、相手の使用する電磁波に関する情報を収集する活動である。電子攻撃・電子防護を効果的におこなうためには、平素から相手の通信機器やレーダー、電子攻撃機がどのような電磁波をどのように使用しているかを把握し、分析しておく必要がある。
また、電子戦は、相手の使用する電磁波を事前に把握・分析できていない状況であっても効果的におこなえることが望ましく、例えば、瞬時に妨害電波を分析し、もっとも妨害を受けにくい周波数を自動的に選択する機能などをもたせるため、AIを装備品に搭載・活用することも考えられている。
「電磁波管理」は、具体的には、戦域における電磁波の使用状況を把握するとともに、電磁波の干渉が生じないよう、味方の部隊や装備品が使用する電磁波について、使用する周波数、発射する方向、使用時間などを適切に調整する活動である。
主要国は、電子攻撃を、サイバー攻撃などと同様に敵の戦力発揮を効果的に阻止する非対称的な攻撃手段として認識し、電子攻撃を含む電子戦能力を重視し、その能力を向上させているとみられる。
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