ゼロからビジネスアイデアを創出するのは大変です。また、冷静に自社を分析することも難しいといえます。ここでは、新規事業の「あるべき姿」を明らかにする「STP分析」と、「ポジショニング」ついて解説します。
「ポジショニング」によって提供価値の差別化を図る
STP分析の最後のプロセスであるポジショニングは、競合製品と差別化して顧客へアピールできるような自社の商品・サービスの提供価値を決定する作業になります。
言い換えれば「カップラーメンは○○でなければダメだ」「味噌は○○と決めている」などというように顧客の心の中に明確なポジションを得ること、提供する商品・サービスの価値をはっきりと位置づけることといえます。
具体的な流れとしてはポジショニングが可能なコンセプトを特定し、コンセプトの選択と開発を進めていくことになります。その際、図表1にあげたような「ポジショニングマップ」を活用します。
ポジショニングマップでは、(顧客の視点から)2つの顧客ニーズを縦軸、横軸にとります。その両軸を組み合わせながら、新たに開発する商品・サービスが競合に比べて競争優位に立てるポジションを探っていきます。
たとえば飲食店であれば、下記の図表1に示したように「料理が高級かカジュアルか」を縦軸に、「居心地がよいかよくないか」を横軸に選び、既存の飲食サービスや自社が新規に行おうとしているサービスを位置づけていきます。そして、自社が提供するサービスが競合と差別化できるだけの価値をもっているか否かを詳細に検討していきます。
ポジショニングを効果的な形で行うコツとして、その商品・サービスに顧客が魅力を感じるか、競合が気づいていないか、自社が提供できる商品・サービスなのかといったポイントを意識しておくとよいでしょう。
カッティング・エッジ株式会社
代表取締役
中小企業診断士
1986年、慶應義塾大学経済学部卒業
2002年、テキサス大学オースティン本校マコームズビジネススクール交換留学
2003年、神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程(MBA)修了
2008年、MITスローン経営大学院 Executive MOT修了
1986年、日本アイ・ビー・エム(株)に入社。社内公募によりジョイントベンチャーを立ち上げ、IBMロゴの製品化を実現。1997年、当時、SFAのパイオニア企業であった米国シーベルシステムズ社の日本上陸に伴い、創業メンバーとして参加。西日本地区の責任者としてビジネスを立ち上げる。その後複数のベンチャー企業立ち上げを経て、2008年、タレントマネジメントのグローバルリーディングカンパニーであった米国サクセスファクターズ社(現SAP社)にスカウトされ、日本法人を設立し、代表取締役社長に就任。ゼロからビジネスを立ち上げ、日本におけるタレントマネジメントシステムの市場を切り拓く。その後、日本オラクル(株)、サービスナウジャパン(合)の事業責任者を経て、独立。現在は、自身の会社であるカッティング・エッジ(株)を設立し、中堅・ベンチャー企業に対するコンサルティングを行う傍ら、ビジネススクールにて「新規事業開発」講座等を担当し、後進の育成に努めている。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載プロジェクト担当者&起業家必見!成功する「新規事業立ち上げ」ノウハウ