競争優位性を築く「競争戦略」
新規事業を市場に定着させ成長していくためには、競合との競争に打ち勝っていくことも必要になります。
競合の分析に関してはその具体的な手法として先に5F分析を紹介しましたが(『【経営者必見】自社の戦略立案に役立つ「クロスSWOT分析」という手法』参照)、その創案者であるポーターは5つの競争要因の圧力から自社を守り、競争優位性を築くための「競争戦略」についても説いています。
すなわち、ポーターは下記の図に示したように縦軸に戦略ターゲットの幅を、横軸に競争優位のタイプをとり、広いターゲットに関しては「低コスト」「差別化」それぞれの要素に応じて①コストリーダーシップ戦略と②差別化戦略という異なる戦略をとることを勧めています。また、狭いターゲットに関しては③集中戦略の活用を促しています。
まず①コストリーダーシップ戦略とは、低コスト体質を実現することによって業界内の競合他社よりも低価格で製品やサービスを提供する戦略です。
また②差別化戦略とは、機能面等において付加価値のある製品・サービスを開発・提供して競争上の優位性を確保する戦略です。
さらに③集中戦略とは、製品・サービスを特定の地域や顧客層などのセグメントに集中して投入する戦略です。
集中戦略の結果、選ばれたセグメントにおいてコスト優位や差別化などを確立することが期待できます。自動車業界を例にすれば、トヨタ自動車は①コストリーダーシップ戦略を、本田技研工業は②差別化戦略を、スズキは③集中戦略を採用しているといわれています。
PLC戦略ではPPMを意識する
記事『新規事業成功のカギを握る「PLC戦略」による顧客アプローチ』でも述べたプロダクトライフサイクル(PLC)戦略に関連するフレームワークの1つに、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)があります。
PPMは、戦略的観点から企業の経営資源の配分の優先順位を決めたり戦略目標を策定したりする経営・管理手法であり、ボストンコンサルティンググループ(BCG)によって提唱されました。
下記に示したように「相対的マーケットシェア(市場占有率)」を横軸に、「市場成長率」を縦軸にとり、製品を以下の4つのカテゴリに分類してそれぞれに適した事業展開を検討していきます。
①問題児成長を促すために今後大きな投資が必要となる製品。
②花形高い成長率が見込める製品だが、シェアの維持・拡大のため相応の投資を行わなければならない。
③金のなる木市場占有率が高く、大きな収入源となる製品。
④負け犬成長率も市場占有率も低く、撤退の検討が必要な製品。
PLCのプロセスにしたがって製品は①から④へと推移していきます。すなわち、①導入期では問題児として参入し、②成長期には花形として成長します。そして、③成熟期には金のなる木として収益に貢献し、④撤退期には負け犬となるので、エグジットを考えなければならなくなるわけです。
木下 雄介
カッティング・エッジ株式会社 代表取締役
中小企業診断士
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