「4P戦略」のフレームワークで、売れる仕組みを創出
ここでは、自社の「現状(As-Is)」と「あるべき姿(To-Be)」についての分析結果をもとに、事業戦略を練っていきます。「戦略」は、「現状」と「あるべき姿」のギャップを埋めるための方策です。
事業戦略の主な選択肢としては4P戦略、成長戦略、競争戦略があげられます。このうち新たに開発した商品・サービスを宣伝・販売していくうえで最も重要な核となるのが「4P戦略」です。
4P戦略は、「製品(Product)」「価格(Price)」「チャネル(Place)」「販促(Promotion)」の4つの「P」の要素からマーケティング戦略を、すなわち売れる仕組み作りを考えていくフレームワークです。
トヨタの新型プリウスを例にすれば、下記の図表2で示したように「製品戦略」については燃費向上、運転性能向上などが、「価格戦略」についてはコストプラス(ボリュームゾーン向けの価格設定)が、「チャネル戦略」についてはトヨタ販売店網による販売が、「プロモーション戦略」についてはテレビCM、新聞・雑誌広告などが4P戦略として具体的に実施されているといえます。
次項では、4Pそれぞれの中身について、すなわち「製品戦略」「価格戦略」「チャネル戦略」「プロモーション戦略」の内容やポイント、注意点などについて詳しく見ていきましょう。
製品戦略により「4つの目的」を実現する
コトラーは、「製品」を「ニーズとウォンツを満足させるため、注目(attention)、取得(acquisition)、使用(use)、消費(consumption)を目的として市場に提供されるもの」と定義しています。
製品戦略はこれら4つの目的を実現する製品を提供することを目指すものであり、より具体的には(1)製品開発戦略と(2)プロダクトミックス戦略、(3)プロダクトライフサイクル(PLC)戦略、(4)ブランディング戦略の4つがあげられます。
(1)製品開発戦略
製品作りのプロセスで求められる戦略であり、素材・仕様の検討から特許・商標等の知的財産権の確保まで多様な要素を含みます。
(2)プロダクトミックス戦略
市場に最適なプロダクトミックス(売り手側の提供するラインやアイテム全ての組み合わせ)を策定することにより、 競争上の優位性を確保する戦略です。
プロダクトミックスの要素としては①幅(プロダクト・ラインの数)、②長さ(全アイテム数)、③深さ(プロダクトごとの種類)、④一貫性(それぞれのプロダクトラインにおける関連性)などがあります。
(3)プロダクトライフサイクル(PLC)戦略
製品のライフサイクルに応じてマーケティングの手法を変えていくやり方です。右ページに示したように大きく、導入期、成長期、成熟期、撤退期の4段階で考えていきます。
(4)ブランディング戦略
製品のブランド力向上を図る戦略です。ブランドイメージを高める方法としては一般にロゴ、シンボル、キャラクターなどが用いられます。
木下 雄介
カッティング・エッジ株式会社 代表取締役
中小企業診断士
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