プロモーション戦略ではAIDMAモデルを意識する
プロモーション戦略(販促戦略)は、製品の情報を合理的・効果的に伝達し顧客に購買行動を起こさせることを目的とした戦略です。
プロモーションの具体的な方法としては①広告、②パブリシティ、③販売促進、④人的販売、⑤口コミがあげられます。プロモーション戦略ではこれらの販促手段の効率的な組み合わせを策定することが求められます。
また、販促活動に関しては消費者の心理をつかむポイントの1つとしてAIDMA(アイドマ)モデルが知られています。
AIDMAは、「Attention(注目)→ Interest(興味)→Desire(欲望)→ Memory(記憶)→ Action(行動)」の頭文字をとったもので、アメリカの経営学者ローランド・ホールによって提唱されました。
プロモーションを行う際には、このような消費者の購買プロセスを想定しておくことが有用です。
AIDMAモデルの実際の利用方法の例をあげると、まず①テレビCM(広告)によって製品を認知させることで消費者の「注目」を集めます。次に②パブリシティによって商品の理解を促すことで「興味」を引き起こします。さらに、③イベント開催(販促)によってニーズ(欲望)を喚起します。それから、④ツイッター等のSNS(口コミ)によって購買意欲をさらに向上させ、商品の「記憶」への定着を図ります。そして⑤店頭での販売員(人的販売)による「購買行動」の促進によって最終的に購入へとつなげていくわけです。
成長戦略で事業を拡大していく
4P戦略によって新規事業を定着させることに成功したら、さらなる成長・拡大を目的とした戦略を策定することが必要となります。
その際に、活用を勧めたいのがアメリカの経営学者イゴール・アンゾフによって提唱された「成長マトリックス」です。成長マトリックスは、図表3に示したように事業の成長を「製品」と「市場」の2軸から把握しようとするものです。
それぞれの軸はさらに「既存」と「新規」に分けられ、①市場浸透、②市場開拓、③新製品開発、④多角化という4つの成長の方向性が示されます。それぞれの概要は以下のとおりになります。
①市場浸透
既存の市場に既存の製品を投入していく。
②市場開拓
新規の市場に既存の製品を投入していく。
③新商品開発
既存の市場に新規の製品を投入していく。
④多角化
新規の市場に新規の製品を投入していく。
たとえば大手IT企業「楽天」は、これら①から④の戦略を展開することにより着実な成長を遂げてきました。すなわち、同社はまずECサイト「楽天市場」を一般消費者に浸透させ(①)、次にグローバル市場を開拓し(②)、それから電子書籍や音楽配信などの新商品を開発し(③)、そして楽天証券や楽天銀行を設立し多角化を図ったのです(④)。
木下 雄介
カッティング・エッジ株式会社 代表取締役
中小企業診断士
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