ビジネスアイデアを駆使し、組織のメンバーなら新規プロジェクトをスタート、起業家なら事業の立ち上げを実現――。しかし、本格的な勝負はここからが本番です。ライバルを圧倒し、シェアを大きく獲得しなければなりません。本記事では、製品の売れ行きを左右する「価格戦略」と、強固な販売網を獲得する「チャネル戦略」の手法について整理して説明します。
価格戦略では「適正な価格」を設定する
価格戦略では「製品の価格をいくらに設定するか」について検討します。価格設定は製品の売れ行きに、ひいては新規事業の成否に最も大きな影響を及ぼす要因の1つといえるので、細心の注意が求められることになります。
具体的な価格の決め方には大きく2つのアプローチ法があります。
新製品導入期の価格設定のアプローチ法
まず、新製品導入期の価格設定方法として、①市場浸透価格(ペネトレーション・プライシング)と②上澄み吸収価格(スキミング・プライシング)を用いる方法が考えられます。
下記の[図表1]をご覧ください。
①市場浸透価格戦略は、市場シェアを獲得するため製品の価格を低価格に抑える戦略です。つまり、ボリュームゾーン向けの価格設定法になります。
これに対し②上澄み吸収価格戦略は製品差別化により競合が少なく、初期段階で早期に資金を回収する必要がある場合にとられる戦略であり、高価格帯の価格設定方法になります。
一般的な価格設定のアプローチ法
もう1つの価格設定法についてお話しします。こちらのほうがより一般的に(導入期に限らず)使用されていますが①コストプラス、②競合比較、③バリュープライシングという3つのタイプから構成される価格設定方法です。
各タイプの内容については下記の[図表2]の説明をご覧ください。
カッティング・エッジ株式会社
代表取締役
中小企業診断士
1986年、慶應義塾大学経済学部卒業
2002年、テキサス大学オースティン本校マコームズビジネススクール交換留学
2003年、神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程(MBA)修了
2008年、MITスローン経営大学院 Executive MOT修了
1986年、日本アイ・ビー・エム(株)に入社。社内公募によりジョイントベンチャーを立ち上げ、IBMロゴの製品化を実現。1997年、当時、SFAのパイオニア企業であった米国シーベルシステムズ社の日本上陸に伴い、創業メンバーとして参加。西日本地区の責任者としてビジネスを立ち上げる。その後複数のベンチャー企業立ち上げを経て、2008年、タレントマネジメントのグローバルリーディングカンパニーであった米国サクセスファクターズ社(現SAP社)にスカウトされ、日本法人を設立し、代表取締役社長に就任。ゼロからビジネスを立ち上げ、日本におけるタレントマネジメントシステムの市場を切り拓く。その後、日本オラクル(株)、サービスナウジャパン(合)の事業責任者を経て、独立。現在は、自身の会社であるカッティング・エッジ(株)を設立し、中堅・ベンチャー企業に対するコンサルティングを行う傍ら、ビジネススクールにて「新規事業開発」講座等を担当し、後進の育成に努めている。
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