ゼロからビジネスアイデアを創出するのは大変です。しかし、ひとりきりで考えるのではなく、グループで議論をすることで、より一層優れたアイデアが誕生します。効率的なアイデア出しの方法を、具体的に紹介します。
MIT研究所のグループ・ダイナミックス理論
どんなに優秀な人材でも1人で考えているだけでは、なかなかよいアイデアは出てこないものです。やはりグループやチームで討議し、ブレインストーミング(会議形式で行うアイデア出し)することが必要になるはずです。
個人で考えている場合に比べて、集団で議論しあっている場合のほうがより多くの優れたアイデアが生まれる理由は、「グループ・ダイナミックス理論」によって説明することが可能です。「グループ・ダイナミックス(Group Dynamics)」は直訳すれば「集団力学」になります。集団の構成員が互いに及ぼしあう影響などを研究する社会心理学の一分野であり、アメリカの心理学者であるクルト・レヴィンによって基礎理論が構築されました。
彼は研究の出発にあたり、
⑴集団生活の場にはどのような性質の「力」が働いているのか
⑵どのような力が集団生活の変化を作り出すのか
⑶どのような力が変化に対する「抵抗」を作り出すのか
という3つの設問を掲げています。
レヴィンの死後はマサチューセッツ工科大学(MIT)に設けられた専門の研究所を中心にその理論的研究等が続けられました。日本でもグループ・ダイナミックス学会が創設されるなど、関連する研究や実践活動は世界各国で展開されています。
グループ・ダイナミックス理論では「集団」と「個人」が相互に影響を及ぼしあうことで、集団と個人双方の気づきや意欲が高まっていくと評価されています。そのような積極的な効果が、ブレインストーミングにおいても十二分に発揮されていると考えられています。
カッティング・エッジ株式会社
代表取締役
中小企業診断士
1986年、慶應義塾大学経済学部卒業
2002年、テキサス大学オースティン本校マコームズビジネススクール交換留学
2003年、神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程(MBA)修了
2008年、MITスローン経営大学院 Executive MOT修了
1986年、日本アイ・ビー・エム(株)に入社。社内公募によりジョイントベンチャーを立ち上げ、IBMロゴの製品化を実現。1997年、当時、SFAのパイオニア企業であった米国シーベルシステムズ社の日本上陸に伴い、創業メンバーとして参加。西日本地区の責任者としてビジネスを立ち上げる。その後複数のベンチャー企業立ち上げを経て、2008年、タレントマネジメントのグローバルリーディングカンパニーであった米国サクセスファクターズ社(現SAP社)にスカウトされ、日本法人を設立し、代表取締役社長に就任。ゼロからビジネスを立ち上げ、日本におけるタレントマネジメントシステムの市場を切り拓く。その後、日本オラクル(株)、サービスナウジャパン(合)の事業責任者を経て、独立。現在は、自身の会社であるカッティング・エッジ(株)を設立し、中堅・ベンチャー企業に対するコンサルティングを行う傍ら、ビジネススクールにて「新規事業開発」講座等を担当し、後進の育成に努めている。
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