部下と信頼関係を築く3つのポイント
■「キャッチボール」で信頼関係を作る3ステップ
では、どうすれば信頼関係が築けるのでしょうか。
そもそも信頼感は、人と人との間に生まれます。その間をつなぎ、満たすのが「コミュニケーション」です。コミュニケーションとは、わかりやすく言えば、「言葉と感情のやりとり」であり、「キャッチボール」です。
信頼関係を構築していくためのポイントは3つあります。
①「相手の興味関心」に関心を持つ
②共通点を見つける
③できていることを「承認」する
ひとつずつ見ていきましょう。
▶信頼関係を作るステップ①「相手の興味関心」に関心を持つ
コミュニケーションの基本は、話すことよりも、「いかに聞くか」です。
そのとき、「意識の向けどころ」に信頼関係を深める意味でも重要となってきます。
「相手の目を見て会話しましょう」などと言われたりします。
ただし、相手そのものに関心を持ちすぎて、相手を覗き込むようにして聞くとどう
でしょうか。相手としては、とても話しにくい状況が生まれます。
そんなときは、相手自身ではなく、「相手が話す世界観、相手の興味関心」に意識を向けてみましょう。
すると、相手も安心して楽しく話してくれる頻度が高まります。
具体的には、相手の興味や関心があることを見つけたら、その話を徹底的に聞くことです。すると、相手は「受け入れてもらえた」ことで安心して心を開き、話を聞いてくれた相手を信頼し始めるのです。
部下に関心を持とうとしても、なかなか難しいこともありますよね。特に、個人的に気が合わない部下に興味を持とうと思っても、気持ちが動かないときもあるでしょう。部下からしてみれば、無理やり自分に興味を持とうとする上司に対して好感を抱くことは少ないです。むしろ、怪しまれたり、煙たがられたりすることのほうが多いのです。
理科の実験対象や、動物園のパンダのように観察されたら、誰だっていい気はしません。さらに、その上司が部下を意のままに使い倒すための手段・戦術のためだとしたら、信頼関係は深まるどころか、崩壊してしまいます。
それでは、どうしたらいいのか?
部下に興味を持てないときは、無理して関心のあるフリをしなくてもいいのです。その代わりに、部下が興味関心を持っているものに注目してみてください。
先ほどのパンダであれば、パンダ自体をじーっと観察するのではなく、パンダの食べている笹や遊んでいるおもちゃに注目すればいいのです。
部下の興味関心があること、熱心に打ち込んでいること、趣味などに対して興味を持つようにすれば、自然と雑談が弾むようになります。
これは、子育ても同じだと痛感しています。
自分の興味あることに無理やり子どもを巻き込むよりは、子どもが熱中していることに一緒に熱中してみると、あっさり理解できることがあります。
研修でこの「意識の向けどころ」についてお伝えしたところ、早速仕事の現場で実践された方から感想をいただいたことがあります。
「相手を凝視するのではなく、相手の世界観・興味関心に関心を持つことの大切さを知り、実践したところ、苦手だと思っていた部下に対しても、普通に対応できるようになった」
というご報告をいただきました。
「相手の関心」に関心を持つことは、苦手な人との関係構築にも威力を発揮します。苦手なAさんそのものではなく、〇〇に興味があるAさんであれば、少し受け入れやすくなり、ストレスも緩和されます。
なかには、「あまりにも価値観が違いすぎたり、リアクションがなかったりして、気が滅入ることがある」というリーダーもいます。
そういうときは、まずは「挨拶」をすることです。
相手が話しかけてきたときに、「名前を添えてリアクション」をする。
そして、理解できないなりにも、相手を「人として尊重」する。
この3つから始めてみてください。