(写真はイメージです/PIXTA)

賃貸経営でしばしば問題となる敷金。正しい知識をもつことでトラブルを防ぐことができると、不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士はいいます。そこで、敷金のキホンとともに、敷金を「使えるケース」「使えないケース」それぞれについて、具体例を交えながら森田弁護士が解説します。

敷金トラブルを防ぐ…オーナーができる4つの対策

賃貸経営において入居者と敷金トラブルに発展してしまうことのないよう、賃貸物件オーナーはあらかじめ次のような対策を講じておきましょう。

 

1.国が定めたガイドラインを理解する

どのような原状回復費用であれば賃貸物件オーナーが負担すべきで、どのような原状回復費用であれば入居者に請求できるのかを判断する1つの指針となるのが、国土交通省住宅局が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。

 

ガイドラインは法律そのものではありませんが、このガイドラインは原状回復の費用負担に関して非常に参考になります。

 

賃貸物件オーナーはこのガイドラインを一読し、理解しておくとよいでしょう。

 

2.敷金の取り扱いを契約書に明記する

原状回復をめぐるトラブルとガイドラインを参考にしたうえで、どのような原状回復費用であれば敷金から充当したり入居者に請求したりできるのか、契約書などに明記しておくとよいでしょう。

 

ガイドラインにあるように、フローリングや壁、設備など、原状回復費用の負担が問題となり得る箇所ごとにケースごとの費用負担者を定めておくとわかりやすいといえます。

 

また、敷引きの取り扱いをする場合には、必ず契約書に明記してください。契約書に記載がなければ、原則として敷金を償却することはできません。

 

入居者は、不動産契約のプロではない場合がほとんどです。そのため、誰が読んでも疑義の生じることのないよう、敷金の取り扱いについて明確に定めておくことをおすすめします。

 

3.入居前に入居者立ち合いのもと物件の写真を残しておく

原状回復費用を敷金から差し引いたり入居者に請求したりする際、その損耗が入居時から存在したものではないかとの点で疑義が生じる場合があります。

 

そのため、入居の前に入居者立ち合いのもとで、物件内の写真をつぶさに撮影し、契約書に添付するなどして残しておくとよいでしょう。

 

4.契約書作成時に弁護士に相談する

賃貸物件オーナーが使用する賃貸借契約書のひな型を作成する際やひな型を修正する際などには、弁護士に相談をして確認してもらうとよいでしょう。

 

敷引契約や原状回復の費用負担など、賃貸物件オーナーとしては、できるだけ自身に有利な内容で設定したいと考える場合が少なくないかと思います。

 

しかし、いざトラブルになった際にその内容が消費者の利益を一方的に害するものであるなどと判断されてしまえば、その条項が無効となるなど、むしろ賃貸物件オーナーにとって不利な結果となってしまうかもしれません。

 

インターネット上などを探せば、賃貸借契約書のひな形などは見つかるかと思います。しかし、そのひな形が、必ずしも所有する物件や締結したい契約の内容に沿っているとは限りません。

 

契約書を整備する際には、インターネット上のひな形などをそのまま使用するのではなく、不動産法務に詳しい弁護士まで相談したほうがよいでしょう。

 

 

森田 雅也

Authense法律事務所 弁護士
 

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