隠れてペットを飼っていた入居者…オーナーは「特約」を理由に追い出せる?【弁護士が解説】 (写真はイメージです/PIXTA)

賃貸トラブルにはさまざまなものがありますが、なかでも昨今増えているのが「ペット飼育」に関するトラブルです。本記事では、ペット禁止の特約を設定したにもかかわらず「破られた」事例を中心に不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が解説します。

通常損耗の修繕費を入居者負担にするには?

まず、通常損耗の修補特約についてご説明したいと思います。

 

通常損耗の修繕費用は基本的に「オーナー負担」

クロスが汚れている、換気扇や壁などに付着した油汚れやタバコのヤニがそのまま……。

 

このように、賃貸借契約が終了して部屋を明け渡す際、入居者がきちんと掃除をしないで部屋を出てしまったせいでそのあとのクリーニングなどに困った経験のあるオーナーは多いのではないでしょうか。

 

そもそも入居者は、賃貸借契約の終了にともない部屋から出る際に「原状回復義務」を負っています。これは、部屋を当初借りたときの状態に戻してから返還する義務のことです。だとすれば、原状回復に要する費用はすべて入居者が負担すべきように思われます。

 

しかし、「通常損耗」と呼ばれる、部屋の使用によって自然に生じてしまう損耗や劣化の修繕費用については、基本的にオーナーが負担すべきものとされています。これは、そもそも賃貸借契約における賃料は、入居者が通常の方法で使用することへの「対価」にあたるため、通常の方法で使用していても当然に生じてしまう通常損耗の修繕は、もともと賃料によってすべてまかなうことが想定されているからです。

 

修繕費用を入居者に負担させたい…特約設定には「明確な合意」が必要

それでは、この通常損耗の修繕費用を賃貸借契約の特約によって入居者に負担させることはできるのでしょうか。

 

本来、「契約自由の原則」からすれば、大家さんと入居者とのあいだで、通常損耗の修繕費用を入居者に負担させる特約を結ぶことも当然に認められるはずです。
※ 契約自由の原則:契約の締結や内容などについては当事者のあいだで自由に決めてよいとするもの。

 

しかし、最高裁(平成17年12月16日)は、このような特約が有効となるためには、少なくとも賃貸借契約の条項に、賃借人が修補義務を負担することになる通常損耗の範囲が具体的に明記されていることが必要であるとしています。

 

また、それが契約条項で明らかになっていない場合にはオーナーが賃借人に対して口頭で説明を行い、賃借人がその内容をきちんと理解して、確認し合ったことが明らかであるなど、オーナーと賃借人とのあいだで、特約が明確に合意されていることが必要であるとしています。通常損耗の部分までも修繕費用を負担させることは、入居者に予想しない負担を課すことになるため、特約を結ぶ場合は慎重に行うべきでしょう。

 

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Authense法律事務所 弁護士

東京弁護士会所属。千葉大学法経学部法律学科卒業、上智大学法科大学院法学研究科修了。
賃貸管理を中心に数多くの不動産案件を取り扱い、当所において建物明け渡し訴訟の分野で国内トップクラスの実績を誇る礎を築いた。多数の不動産賃貸管理トラブルを解決へと導いた実績から、国内総合デベロッパー、大手証券会社、不動産協会からのセミナー依頼も多く、積極的に講演活動も行う。
多店舗を展開する東証一部上場企業の社外取締役を務めた経験も活かし、経営者目線を持った弁護士として、様々なビジネス課題を解決するための多面的なアドバイスを提供する。
不動産法務だけでなく、不動産と切り離せない相続問題にも注力。依頼者や顧問先企業のニーズに寄り添い、柔軟に対応することを信条としている。

Authense法律事務所(https://www.authense.jp/)
Authense不動産法務(https://www.authense.jp/realestate/)

著者紹介

連載Authense法律事務所の森田雅也弁護士が解説!トラブル解決のための不動産法務のポイント

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