賃借人から「賃料減額」を求められたら?「交渉・調停」に発展した場合の対応【弁護士が解説】 (写真はイメージです/PIXTA)

賃貸トラブルには様々なものがありますが、そのひとつが「賃借人から賃料減額を求められる」というケースです。 賃料減額を求められたら、どのような手続きが行われるのでしょうか。賃料の減額を求める手段として、裁判手続きを利用する場合としない場合があります。また、交渉や調停などで争っている期間中の賃料も問題になってきます。不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田 雅也弁護士が解説します。

賃借人からの賃料減額請求の手段と手続きの流れ

賃借人から賃料減額を求められた場合、どのような手続きが行われるのでしょうか。賃借人が賃貸人に賃料の減額を求めてくるのにはどういった手段が考えられるのか、裁判になることはあるのかについて説明します。

 

賃料の減額を求める権利

まず、借地借家法32条1項は、賃借人が賃貸人に対して賃料の減額を求める権利を規定しています。 この請求権は「形成権」といって、将来の賃料を適正な額に変更させる効果を持ちます。

 

賃借人が賃料の減額請求権の行使をすると、もし、その賃料が「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下、その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となった」と認められた場合に、将来に向かって賃料を適正な額に変更する効果が生じます。

 

賃料の減額を求める手段は、大きく2つに分けられます。

 

■裁判手続きを利用しない場合

1つ目は、裁判手続きを利用せずに、任意での交渉を賃借人から求められる場合です。当事者間において任意で行われるものであるため、基本的には口頭や書面など、手段や方法は問われません。

 

■裁判手続きを利用する場合

2つ目は、裁判手続きを利用して減額を求められる場合です。裁判手続きとしては、調停や訴訟が考えられます。

 

しかし、賃料の減額を裁判所に申し立てる場合には、原則として簡易裁判所に調停の申し立てをしなければなりません。そのため、賃借人がいきなり賃料の減額を求める訴訟を提起しても、この訴訟を受理した裁判所は原則として事件を調停に回します。

 

調停で行われること

調停では、裁判官に加えて、調停委員という民間の有識者から選ばれた第三者を交えながら、当事者で話し合いを行います。話し合いがまとまれば、原則としてそこで調書が作成され、合意した賃料が今後の改定賃料となります。もっとも、調停はあくまで話し合いによる解決が前提であるため、賃貸人と賃借人がお互いに譲歩せずに話し合いが決裂した場合には、調停は不成立となります。

 

交渉が決裂し、調停も不成立となった場合、賃借人は訴訟を提起することになります 。訴訟では、裁判所が指定する不動産鑑定士による鑑定が行われることがあり、この鑑定をもとに、最終的に裁判所が適正賃料を決定します。

 

【8/18(土)関連セミナー開催】
節税、相続、贈与対策から資産形成まで…10万円から始める不動産クラウドファンディング

Authense法律事務所 弁護士

東京弁護士会所属。千葉大学法経学部法律学科卒業、上智大学法科大学院法学研究科修了。
賃貸管理を中心に数多くの不動産案件を取り扱い、当所において建物明け渡し訴訟の分野で国内トップクラスの実績を誇る礎を築いた。多数の不動産賃貸管理トラブルを解決へと導いた実績から、国内総合デベロッパー、大手証券会社、不動産協会からのセミナー依頼も多く、積極的に講演活動も行う。
多店舗を展開する東証一部上場企業の社外取締役を務めた経験も活かし、経営者目線を持った弁護士として、様々なビジネス課題を解決するための多面的なアドバイスを提供する。
不動産法務だけでなく、不動産と切り離せない相続問題にも注力。依頼者や顧問先企業のニーズに寄り添い、柔軟に対応することを信条としている。

Authense法律事務所(https://www.authense.jp/)
Authense不動産法務(https://www.authense.jp/realestate/)

著者紹介

連載Authense法律事務所の森田雅也弁護士が解説!トラブル解決のための不動産法務のポイント

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧
TOPへ