(※写真はイメージです/PIXTA)

新宿区内で「2室合計75,000円」の格安物件、加えて契約書内に「転貸も可能」とあったことから契約した借主。しかし、契約書を信じて民泊をはじめたところ、さまざまなトラブルが発生したことで、オーナーから「契約違反だ」と責められ、賃貸借契約の解除を求められました。貸借人に弁明の余地はないのでしょうか。賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた弁護士の北村亮典氏が、実際にあった裁判例をもとに解説します。

無断で民泊を始めた借主に裁判所が下した判決は…

まず、「転貸を可能」とする特約が契約書に設定されていたことから、この特約により民泊の利用が契約違反とはならないのではないか」との点について、裁判所は、契約書において「住居としての使用」に限られているという点を重視し、転貸が可能という特約があったとしても、民泊での使用までは認める趣旨ではないと判断しました。

 

「本件賃貸借契約には、転貸を可能とする内容の特約が付されているが、他方で、本件建物の使用目的は、原則として被告の住居としての使用に限られている。これによれば、上記特約に従って本件建物を転貸した場合には、これを「被告の」住居としては使用し得ないことは文理上やむを得ないが、その場合であっても、本件賃貸借契約の文言上は、飽くまでも住居として本件建物を使用することが基本的に想定されていたものと認めるのが相当である」

「特定の者がある程度まとまった期間にわたり使用する住居使用の場合と、1泊単位で不特定の者が入れ替わり使用する宿泊使用の場合とでは、使用者の意識等の面からみても、自ずからその使用の態様に差異が生ずることは避け難いというべきであり」、「転貸が可能とされていたことから直ちに民泊としての利用も可能とされていたことには繋がらない」

 

また、「借主が賃借物件を民泊に使用していたことによって信頼関係が破壊されたといえるか」という点については、裁判所は、

 

「本件建物を民泊の用に供することが旅館業法に違反するかどうかは措くとしても」

「現に、aアパートの他の住民からは苦情の声が上がっており、ゴミ出しの方法を巡ってトラブルが生ずるなどしていたのであり、民泊としての利用は、本件賃貸借契約との関係では、その使用目的に反し、賃貸人である原告被承継人との間の信頼関係を破壊する行為であったといわざるを得ない」

 

と述べて、信頼関係も破壊されたとして解除を認めました。

 

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※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。

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