購入した宅地から“基準値を超える有害物質”が検出→契約書には「瑕疵担保責任3ヵ月」の文字が…期限超過も「契約の解除」は可能か【弁護士が判例解説】

購入した宅地から“基準値を超える有害物質”が検出→契約書には「瑕疵担保責任3ヵ月」の文字が…期限超過も「契約の解除」は可能か【弁護士が判例解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

マイホームを建てるために買った土地から“環境基準を超える有害物質”が複数検出されたら……当然、売買契約を解除したいと考えるでしょう。しかし、売主が「瑕疵担保責任」を3ヵ月と定めており、「引渡しから3ヵ月以上経っているので無効」と反論してきた場合、泣き寝入りするしかないのでしょうか。弁護士の北村亮典氏が、実際の裁判事例をもとに解説します。※本事例は、2020年4月の改正民法施行前の事例となりますので、現行の法令では異なる判断になる可能性があることにご留意下さい。

宝飾卸売業者が買主に売りつけた“ヤバい土地”

不動産の売買における瑕疵担保責任の期間制限について、民法は、570条、566条3項

 

「買主が事実を知ったときから1年以内にしなければならない」

 

と規定をしています。

 

ただし、この瑕疵担保責任の免除の有無や期間制限については、原則として、契約当事者間において自由に取り決めすることができます。

 

これに対する例外として、売主が宅建業者である場合、宅建業法上の瑕疵担保責任に関するルールにより、 売主が宅建業者、かつ、買主が宅建業者ではない場合、瑕疵担保責任を目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法に定める責任と比べて買主に不利な特約を締結することができず(宅建業法40条1項)、これに違反する特約は無効(同条2項)とされています。

 

また、売主が宅建業者ではなくても、法人等の事業者である場合消費者契約法の適用があり、消費者契約法は、消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する特約を無効としていますので、売主が事業者の場合、瑕疵担保責任の全部を免除することはできません(消費者契約法8条1項5号)

 

では、売主が宅建業者ではない「事業者」の場合、瑕疵担保責任の期間を1年よりさらに短縮する旨の合意をすることは消費者契約法の関係で許容されるのでしょうか

 

この点が問題になったのが、東京地方裁判所平成22年6月29日判決の事例です。

 

この事例は、売主が「貴金属、宝石類の卸売業等を目的とする株式会社」で、その所有する土地を個人の買主に宅地用途で売却したという事例で、瑕疵担保責任については3ヵ月間に制限する特約がありました。

 

土地の売買後、土地から環境基準(150mg/kg)を超える鉛250mg/kgが検出され、また、過去に当該土地上で皮革が燃やされたり埋設されたことがあり、土地に埋まっていた皮革の燃え殻から、15.3ppmの六価クロムが検出されたということも判明しました。

 

買主「瑕疵担保責任の期間を過ぎているが、契約解除したい」は通用するのか

そのため、買主は瑕疵担保責任により契約の解除を申し出ましたが、すでに引渡しから3ヵ月が経過していたため、買主側は、瑕疵担保責任の期間を3ヵ月に制限する特約が消費者契約法に違反し無効だと裁判で主張し争ったのです

 

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※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを、北村氏が再監修のうえGGO編集部で再編集したものです。

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