実際とは10万円以上異なる賃料を記載していた仲介業者
【収益物件買主からの相談】
私は、共同住宅兼事務所ビルを1億9,000万円で購入しました。
このビルは、私が購入した後に転売したうえで、借主となってサブリースをするという目的で購入したもので、この目的で購入することは仲介業者には伝えていました。
しかし、ビルの引渡しを受けたあと、ビル管理会社の状況確認により、売買契約時に仲介業者を通じて売主側から交付を受けていた家賃管理表の月額の家賃の記載や、空き室の記載に誤りがあったことが発見されました。月額の賃料額は88万5,000円とされていたのに対し、実際は月額75万円だったのです。
このため、私は仲介業者に対して説明・告知義務違反があるとして、賃料の差額分の損害賠償請求をしました。
これに対して、仲介業者は「売主から賃貸借契約書ないし賃貸借契約の詳細な情報を入手すべく努めたが、売主が非協力的であり、賃貸借契約書が作成されていない部屋も多かったため、売主から提出された資料に基づき、可能な範囲で報告している。だから、仲介業者としての調査、報告義務は尽くした」などと言って、賠償請求に応じません。
このような仲介業者の反論は認められるのでしょうか。
【説明】
本件は、東京地方裁判所令和2年7月22日判決の事例をモチーフにしたものです。
いわゆる収益物件(賃貸ビル)の売買において、物件の賃料額について仲介業者が実際の賃料額と異なる資料を渡し説明したことについて、仲介業者の説明・告知義務違反の有無が問題となりました。
本件で問題とされた仲介業者の行為とは、
というものでした。