一極集中する東京の街が持つ好循環とは
(5)再開発を加速させ、都内各地の魅力を底上げする新線計画
ここまでご紹介してきた再開発ですが、こうした都内各地の発展には交通インフラの整備が欠かせません。東京では現在、地下鉄や空港へのアクセス線など様々な新線の計画が進行しています。まずは、地下鉄新線プロジェクトを見てみましょう。
このプロジェクトは2027年度に東京メトロが完全民営化することにあわせ、東京都が国交省に対して、「有楽町線の延伸」「都心部・品川地下鉄線」「都心部・臨海地域地下鉄線構想」の3路線の建設を要請。その是非が議論されています。
3つの新線のうち、有楽町線の延伸区間は、有楽町線豊洲駅から半蔵門線住吉駅までの約5キロの区間を繋ぎます。有楽町線は東武東上線や西武池袋線、半蔵門線は東武スカイツリーラインとそれぞれ直通で運転していることから、利便性の向上が期待されます。国交省の試算によると、利用客数1日当たり27万3000人~31万6000人を見込んでおり、この数字は建設費に照らし合わせると十分元が取れる数字です。
2つ目の都心部・品川地下鉄線は、東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線の白金高輪駅から分岐し、品川駅に至るルートです。品川駅はリニア中央新幹線の発着予定駅でもあり、羽田空港への広域的な交通結節点ですので、都心部と各地との広域ネットワークのハブとして、さらなる効果が期待できます。
もう1つの都心部・臨海地域地下鉄線構想については、現在秋葉原駅止まりのつくばエクスプレスを東京駅まで延伸させ、東京駅から銀座を経て豊洲・有明など臨海部に向かうルートとなっています。ただ、専門家による委員会では、臨海地域地下鉄線構想については「ほかの2路線と比較し熟度は低い」とされていますので、これからさらに議論が深まっていくことを期待したいところです。
一方で、前述の2路線については実現に向け「相当有効な事業」と指摘されており、現段階では2路線についてはかなり実現度が高いと言えるでしょう。
都内の新線計画の動きはこれだけではありません。2029年度の開業を目指す「羽田空港アクセス線」は、東京駅から羽田空港に建設される新駅までをつなぐ路線です。現状では浜松町駅でモノレールに乗り換え30分近くかかるところを、直通で約18分にまで短縮できます。さらに、上野東京ラインにつながることで、上野や赤羽、大宮のほか、日暮里、北千住など、宇都宮線や高崎線、常磐線からも羽田空港へダイレクトにアクセスできるようになるのです。
さらに、横浜市では2022年度下期に開業を予定する「相鉄・東急直通線」の建設が着々と進んでいます。この路線は東急線日吉駅と相鉄・JR羽沢横浜国大駅との間、約10kmの連絡線を新設する予定で、これにより神奈川県央部や横浜市西部と渋谷など東京都心部が直結。これまで以上に東京都心部を中心とした広域ネットワークが形成されます。
これ以外にも、新線の建設ではないですが、京王線「笹塚」駅~「仙川」駅間の約7・2kmの高架化が2022年に完成予定で、駅前の再開発も予定されています。
そもそも地方では多くの鉄道が廃線や休線、減便となるなか、これだけ様々な新線の計画が同時に進行する場所は東京だけと言っても過言ではありません。新線の開通と新駅の誕生により交通網がさらに充実することで、再開発が加速し、人が集まり続ける都市が東京です。
■勝ち馬に乗る! 東京は空室解消の好循環ができている
東京は国内から、そして世界からたくさんの人を集めており、さらに魅力を高める再開発が盛んに行われています。わたしが不動産投資の立地として東京をおすすめするのは、人口が最も多い点や再開発が盛んに行われているという断片的なことではありません。それぞれの要素が良い影響を与えあって東京に空室の早期解消という好循環をもたらしているからです。
人が集まれば、そこで生活していく消費活動が行われます。つまり人が集まるところに多くのお金が落ちるのです。そして、お金が落ちるところには、商売のチャンスが眠っていますから、さまざまな商業施設やインフラが整備されていきます。こうして商業施設などができれば新たに仕事が生まれます。そして、仕事を求めて、さらに全国から東京に人が集まってくるのです。
つまり、人が集まる→お金が落ちる→再開発が行われる→仕事が増える。そして人が集まる、という好循環が完成しているのです。
人が集まる場所に投資をするのは、不動産投資で成功するための鉄則です。だからこそ、一貫してわたしは東京の不動産投資をおすすめします。
※書籍執筆時のデータに基づいています。
重吉 勉
株式会社日本財託 代表取締役社長
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