日本一高いビルが建設予定の常盤橋プロジェクト
(3)TOKYO TORCH(東京駅前 常盤橋プロジェクト)
2021年7月、東京駅日本橋口にひときわ巨大な高層ビルが開業しました。名前は「常盤橋タワー」。地上38階・地下5階で、高さは約212mと現時点では東京駅周辺のどの建物にも負けない高さを誇っています。
延べ床面積14万6000平方メートルの建物内にはオフィスエリアに加え、地下1階~地上3階は商業エリア「TOKYOTORCHTerrace(トウキョウトーチテラス)」が設けられ、飲食店などが軒を連ねています。そのほか、桜や芝生を取り入れた3000平方メートルの広場も誕生しました。
TOKYOTORCHはこれだけでは終わりません。常盤橋タワーの隣には2027年度、高さ390メートル、地上63階の「TorchTower」が建つ予定です。現在、日本で一番高い商業ビルは大阪のあべのハルカスで300メートルですが、それをも上回る「超」高層ビルの誕生です。もちろん高さは日本一になります。
三菱地所が世界に誇る日本の新たなシンボルと位置づけて建設するこのタワーには、高層階に約100室の高級ホテル、中層階にオフィス、また低層階に約2000席の大規模ホール、約4500坪の商業ゾーンなどが整備される計画です。
2つのタワー間には約7000平方メートルの広場が整備され、イベントでの活用はもちろん、災害時の支援拠点としての機能も併せ持ちます。
常盤橋タワーだけでも約8000人の就業者を収容可能なオフィス面積を有しています。また、東京の玄関口である東京駅のほか、地下鉄5路線が集約した大手町駅とも地下通路で直結。将来的には八重洲や大手町、丸の内、日比谷だけでなく、東京メトロ日本橋駅方面へも地下歩行者ネットワークが形成されます。
(4)渋谷駅・新宿駅周辺再開発
再開発が進むのはビジネス街だけではありません。都内有数の文化の発信地である渋谷や新宿の駅周辺でも次々と再開発が進んでおり、さらに魅力的な街へと進化を遂げつつあります。
渋谷駅周辺では、東急グループらが「日本一訪れたい街」にすることを掲げ、主に9つの再開発プロジェクトを進めてきました。2012年には渋谷駅東口に地上34階、高さ182.5メートルの複合高層ビル「渋谷ヒカリエ」が2012年にオープン。
これを皮切りに、2017年には商業施設やオフィス、賃貸住宅を構える「渋谷キャスト」、2018年には「渋谷ストリーム」「渋谷ブリッジ」、2019年には「渋谷フクラス」「渋谷ソラスタ」に加え、渋谷駅の直上には渋谷の新たなランドマークとなる地上47階建ての「渋谷スクランブルスクエア・東棟」がオープンしました。
渋谷駅周辺の再開発は今も続いており、2023年度には渋谷駅の南西側にあたる桜丘口地区の2.6ヘクタールの土地に商業施設やオフィス、賃貸住宅のほか、多言語対応の医療施設や子育て支援施設、生活支援施設、起業支援施設などを備えた2つの高層ビルが誕生します。さらに2024年度には渋谷ヒカリエに隣接する形で地上23階建ての複合施設が完成、2027年度には渋谷スクランブルスクエアの中央棟・西棟が開業する予定です。
日本一の乗降者数を誇る新宿駅周辺でも「大改造」の動きがあります。2029年度までに、新宿駅西口に隣接する小田急百貨店のビルなどを、高さ260メートル・地上48階の大規模複合ビルに建て替える計画です。東口の駅ビルも建て替えを検討中で、同じく高さ260メートルのビルが予定されています。
今は比較的低層のデパートとなっている新宿の駅ビルですが、虎ノ門ヒルズを超えるツインタワーが駅を挟んで立ち並ぶようになるのです。
新宿駅西口ロータリー前の明治安田生命新宿ビルがある街区でも、6棟の既存ビルの取り壊しが進められています。中層オフィスビルが建ち並ぶエリアでしたが、2025年には、高さ130メートル・地上23階の大規模オフィスビルに生まれ変わります。
これらのビルも含め、駅周辺は「新宿グランドターミナル」構想によって、今後2040年代を目指して連続的に再開発が始まります。1960年代から発展してきた新宿駅周辺には築50年を超えて老朽化したり、活用が不十分だったりするビルが多く存在します。
それらを建て替えながら、利便性を高め、ビジネスや文化の交流拠点を作るビジョンが描かれています。
ここまで紹介した以外にも、池袋や新橋、五反田など東京23区内では今後も大規模再開発が目白押し。日経不動産マーケット情報によれば2021年以降に予定される大規模オフィスビルは99棟、総延床面積は1008万平方メートルにも及びます。
これらの再開発がエリアの魅力を高め、就労人口を増やし、5年後、10年後にも賃貸の需要を生み出し続けるのです。