老朽化したアパートを所有していたオーナーが建物がつぶれて入居者が亡くなった結果、その管理責任を問われて1億円以上の損害賠償を命じられたケースもあります。さらに火災リスクに備えるためには、建物の構造だけではなく、立地も重要です。24,000戸以上を管理する不動産会社の代表の重吉勉氏が著書『不動産投資が気になったらはじめに読む本』(金風舎)で解説します。

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不動産投資には8つのリスクがある!

不動産投資を検討するのであれば、絶対に外すことのできない8つのリスクについてまとめました。単なるリスクの内容紹介だけではなく、その回避策、対応策についても踏み込んで紹介しています。リスクを知り、対処法も押さえておけば、マンション経営で安定した利益をあげることが可能です。

 

それでは1つずつ確認していきましょう。

 

8つのリスク重吉勉著『不動産投資が気になったらはじめに読む本』(金風舎)より。
8つのリスク重吉勉著『不動産投資が気になったらはじめに読む本』(金風舎)より。

 

▶リスク⑤物件価格の下落/資産価値が落ちづらい物件を選ぶ

家賃と同様、築年数の経過とともに物件価格は下落していきますが、価格が落ちづらい物件を選ぶことは可能です。それはすなわち、RISK4で紹介した家賃が下がりにくい物件を選ぶことです。

 

投資用物件の価格は主として、「収益還元法」と呼ばれる計算方法を用い決定されます。これは、物件から得られる家賃から年間にかかる経費を引いた収益から、周辺にある同様の物件の利回りを割り戻して計算する方法です。

 

収益還元法には「直接還元法」と「DCF(DiscountedCash-Flow)法」の2つの算出方法がありますが、収益そのものである家賃収入をもとにして資産価値が決まる点は同じです。まずは家賃が下がりにくい物件=資産価値が下がりにくい物件だということを覚えておきましょう。

 

ただし不動産の取引価格は景気動向や金利の上下など外部環境にも影響を受けます。都心3区、都心5区といった23区のなかでも極めてネームバリューがある立地ほど、景気動向に左右されやすい面があるので、その点は留意しておく必要があります。

 

▶リスク⑥災害(地震・火災)/複数戸なら物件エリアを分散させる

大地震の発生リスクが高まっている現在、地震リスクへの備えが実物資産である不動産投資では欠かせません。地震リスクに備えるためには、地震に強い物件・立地を選ぶことはもちろんのこと、「エリア分散」も大きなポイントです。

 

■地震に強い物件を選ぶ

 

いつマンションが建築されたかで地震に対する強度が異なります。地震に強い物件を選ぶには、1981(昭和56)年以降に制定された新耐震基準の物件を選ぶことです。

 

新耐震基準法は1978(昭和53)年に宮城県沖で発生した地震による被害を教訓に定められた基準で、「震度6強以上の地震で倒れない住宅」とされています。

 

実際に阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本地震でも、新耐震基準で建てられた分譲タイプのワンルームマンションの倒壊は1棟もありませんでした。

 

東日本大震災が発生した月、わたしの会社でも救援物資を軽トラック2台に積んで被災地に行きましたが、貯水槽が傾いているマンションや立入り禁止のテープが入口に張られているマンションなど、被害を受けている建物はきまって旧耐震基準のものでした。

 

だからこそ、築年数が1978年以前の旧耐震の物件は選ばず、地震に強い新耐震基準の鉄筋コンクリート造のマンションを選びましょう。

 

さらに、一か所に投資不動産に集中させるのではなく、立地を分散して投資をすることで、地震リスクを分散することができます。たとえば、1億円の投資資金で1棟アパートを買うよりも、ワンルーム5戸を購入してエリアを分散させたほうが、地震による火災などのリスクも分散することができます。

 

次ページ安易に築古アパートに手を出すと危険な理由

本連載は重吉勉氏の著書『不動産投資が気になったらはじめに読む本』(金風舎)から一部を抜粋し、再編集したものです。なお、データは出版時点の情報に基づいています。

不動産投資が気になったらはじめに読む本

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重吉 勉

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