何らかの理由で入居者が室内で亡くなった場合、その物件は「事故物件」と呼ばれます。不幸にも入居者が亡くなり、所有物件が事故物件になったとき、「どのようなケース」で、「いつまで」次の入居者に伝えるべきなのでしょうか。24,000戸以上を管理する不動産会社の代表の重吉勉氏が著書『不動産投資が気になったらはじめに読む本』(金風舎)で解説します。

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「事故物件」告知のガイドラインが公開

不動産投資を検討するのであれば、絶対に外すことのできない8つのリスクについてまとめました。単なるリスクの内容紹介だけではなく、その回避策、対応策についても踏み込んで紹介しています。リスクを知り、対処法も押さえておけば、マンション経営で安定した利益をあげることが可能です。

 

それでは1つずつ確認していきましょう。

 

8つのリスク重吉勉著『不動産投資が気になったらはじめに読む本』(金風舎)より。
8つのリスク重吉勉著『不動産投資が気になったらはじめに読む本』(金風舎)より。

 

▶リスク⑦事故物件/ガイドラインに即して収益の減少を最小限にとどめる

何らかの理由で入居者が室内で亡くなった場合、その物件は「事故物件」と呼ばれます。オーナーとして気になるのは、不幸にも入居者が亡くなり、所有物件が事故物件になった際、「どのようなケース」で、「いつまで」次の入居者に伝えるべきなのかということでしょう。

 

この告知基準には、これまで明確なものがありませんでしたが、2021年、初めて国土交通省がガイドライン案を公表しました。国交省が公開したのは『宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン』です。

 

不動産物件の取引に当たって、借主・買主に心理的な抵抗が生じる恐れのある事柄のことを法律用語で『心理的瑕疵』と言います。ガイドラインでは告知の必要性と、告知が必要な期間の目安を示しています。

 

ガイドラインのポイントは3つ。まず押さえておくべきポイントは、告知が必要な状況です。

 

室内での他殺や自殺、事故死は「告知する」事項だと明記されました。またその必要期間は、賃貸借契約においては、特段の事情がない限り、発生からおおむね3年間です。実務的には、心理的瑕疵が薄まるには、2~3年がかかるとされており、ガイドラインの3年間という基準もこれに即したものです。

 

心理的瑕疵があれば入居者募集において苦戦するため、そのお部屋の家賃は、相場から10%~20%程度低くして募集するのが一般的です。一方で、管理物件における平均入居期間も、およそ3年です。つまりガイドラインに従えば、本来得られるべき家賃収入額を逸している期間を、最小限にできると見込まれます。

 

ポイントの2つ目は、病死、老衰などいわゆる自然死や日常生活における不慮の死は、「告知の必要はない」と明記されたことです。このような自然死が発生した場合、現状でも、入居者募集時に心理的瑕疵を告知しないことが、一般的です。家賃を下げて募集する必要もありません。

 

ただし、例外として注意すべき点があります。これが3つ目のポイント、孤独死リスクです。ガイドラインでは例外として、自然死でも、発見が遅れて長期間の放置があり、いわゆる特殊清掃を要するようなケースを挙げています。この場合も通例通り、告知が必要と明記され、原則として3年間とされました。誰にも看取られることなく、室内で死亡してしまう、いわゆる孤独死においては、発見までのスピードが影響の大小を分けます。

 

死亡の発見が遅れると、特殊清掃や居室に残された家具等の残置物の処理、原状回復工事に多大な費用がかかり、オーナーの負担となることも少なくありません。加えて、告知を要する以上、家賃を相場よりも下げて募集しなければ次の入居者が決まらない可能性も出てくるでしょう。

 

わたしの会社の管理物件でも年間に数件程度、まさに万が一に近い確率ではありますが、孤独死が発生しています。そのため、孤独死防止策として、リスクの高い70歳以上の入居者に対して毎月必ず電話で連絡を取っています。部屋の設備に不具合がないか、また、困っていることがないかをお伺いして、生活サポートをしながら、定期的に安否確認しています。

 

ガイドラインに法的拘束力はありませんが、不動産会社の対応を巡ってトラブルとなった場合には、ガイドラインが考慮されることになります。

 

また、最近では孤独死リスクに備える保険という選択肢もあります。たとえば月200円程度の負担で、100万円までの保障がつき、生じうる損害の大部分を賄えるものです。

 

次ページ信頼できる管理会社選びの基準とは

本連載は重吉勉氏の著書『不動産投資が気になったらはじめに読む本』(金風舎)から一部を抜粋し、再編集したものです。なお、データは出版時点の情報に基づいています。

不動産投資が気になったらはじめに読む本

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重吉 勉

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