東京大改造はまだまだ終わらない!
東京オリンピックを契機にとして東京の主要エリアでは盛んに再開発が行われ、交通インフラの整備も進みました。ただ、オリンピックが終わっても、東京大改造ともいえる大規模再開発による街の進化と魅力の向上はまだまだ止まりません。
■続々とすすむ東京の再開発
ここで代表的な東京の再開発、交通インフラの整備についてまとめます。
(1)品川開発プロジェクト
2020年3月、山手線に約半世紀ぶりに新駅が誕生しました。品川と田町の間にできた「高輪ゲートウェイ駅」です。新国立競技場を手がけた隈研吾氏のデザインによる駅舎や、AI案内、無人コンビニなどの新しい取り組みが多く、開業前から話題となっていました。
とはいえ、新駅誕生の真の価値は交通アクセスが便利になることではありません。それは、駅と街が一体となった大規模再開発です。
高輪ゲートウェイ駅周辺の開発の目玉は、JR東日本が車両基地跡地に建設する「品川開発プロジェクト(I期)」。9.5ヘクタール、東京ドーム1.5個分の敷地を4街区に分けて、オフィスビルや文化施設など計5棟を開発します。
高輪ゲートウェイ駅前には、地上30階のツインタワーが建ちます。大規模なオフィスフロアはもちろん、多種多様な業種の方が共有して使用できるシェアオフィスや、国際会議も可能な大型の会議施設が入る予定です。国内外のビジネスパーソンが行き交う場となることが期待されています。
開発の総延床面積は85万1000平方メートルで、六本木ヒルズの総延床面積72万平方メートルを上回る規模です。2024年の街びらきに向け、JR東日本が威信をかけて進める総事業費は5000億円にのぼります。
高輪ゲートウェイからわずか徒歩4分の距離には京急線・都営浅草線の泉岳寺駅があります。隣り合うこの駅周辺でも再開発が進行中です。旧・京急本社ビルの跡地を、東京都が主体となって開発。オフィス、住居、子育て支援施設が入った延べ11万平方メートルの複合施設が2025年に誕生します。地下では泉岳寺駅のホームを拡張し、利便性の向上が図られるようです。
国道15号線を挟んだ向かい側では、住友不動産が1000億円規模の資金を投じます。地下鉄駅から泉岳寺までのエリアを、地上41階のタワーマンションを含めた3棟を整備、こちらも2024年度中の完成を目指しています。
高輪ゲートウェイ駅から見て南西側、品川駅の西口には、ホテルや商業施設が広がっています。一帯を所有する西武ホールディングスは4000億円をかけてこのエリアをオフィスビル、商業施設、ホテルで構成する複合施設に再開発する意向です。
さらに京急品川駅の地上化工事に伴う駅ビル再開発や、駅と西側エリアを一体化させる広場空間として国道15号線の上空に広大なデッキを作る構想もあります。これらはリニア中央新幹線の開業が予定される2027年に向けて進められる見込みです。隣接する高輪ゲートウェイ駅と併せて、オフィスやレジャー、また住まいとしてもエリアの魅力は高まるでしょう。
これらを含めた周辺開発の総事業費は、判明しているだけで1兆円に上り、その経済効果は1兆4000億円とも試算されています。
(2)虎ノ門周辺の再開発プロジェクト
新駅が誕生したのは山手線だけではありません。虎ノ門ヒルズで有名な虎ノ門周辺にも2020年、東京メトロ日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ駅」が完成しました。もともと虎ノ門ヒルズ(森タワー)は、最寄り駅の銀座線虎ノ門駅、日比谷線神谷町駅、都営三田線内幸町駅・御成門駅、いずれの駅からも300メートル以上離れており、今回の新駅設置でより利便性が向上。
2020年に竣工した虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーに続き、2023年には駅直結の虎ノ門ヒルズ ステーションタワーも竣工予定で、区域面積7.5ha、延床面積80万平方メートルのビジネスやイノベーションの拠点となります。
また、すぐ隣の神谷町駅では、虎ノ門・麻布台プロジェクトも進行中です。2023年には高さ日本一となる約330メートルのメインタワーを筆頭に、計3棟のビルと4つの付帯施設が竣工する予定です。
開発主体の森ビルが「(六本木)ヒルズの未来形」と語るほど力の入った同プロジェクトは、総事業費5800億円。延床面積約86万平方メートルの空間にはオフィスや住宅、ホテル、文化施設のほか、約150にも及ぶ店舗などが入る計画です。オフィス就業者数は約2万人、住宅居住者数は3500人を予定し、いずれも六本木ヒルズを上回る規模であるほか、敷地全体の3分の1が緑地なことも相まって大勢の人が集う人気スポットとなるでしょう。