(※写真はイメージです/PIXTA)

資産家の一族の長男の結婚が決まり、自宅の新築を進めようとしましたが、不動産は亡くなった独身の姉と共有であり、名義変更が必要です。そのためには関西に暮らす甥姪との協議が必要ですが、そこには簡単には解決できない確執がありました。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。

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都内の豪邸に暮らす大家族、幸せの裏側には…

今回の相談者は、70代の山田さんです。長男の結婚をきっかけに、過去の相続問題が再燃しているとのことで、筆者の元に訪れました。

 

山田さんは3人きょうだいの末っ子で、上には姉が2人います。1番目の姉と山田さんは結婚して子どもがいますが、2番目の姉は独身を通し、会社員として定年まで働きました。

 

山田さんが暮らしているのは都内の戸建て住宅ですが、代々相続してきた土地ということもあり、かなりの広さです。

 

1番目の姉は就職と結婚で実家を離れましたが、2番目の姉は実家から仕事に通い、山田さんは結婚を機に実家に戻ったかたちです。一時期は、山田さんの両親、2番目の姉、山田さん夫婦と子どもが一緒に生活していました。

 

山田さんの父親が亡くなって相続が発生した際、関西に暮らす1番目の姉には自宅不動産の権利を放棄してもらい、山田さんと2番目の姉の共有名義に変更しました。その後、山田さんと2番目の姉の共有名義で2世帯住宅に建て替えました。その状態で年月が流れました。

長男の結婚と自宅新築に際し、不動産の名義が問題に

このたび、山田さんの長男の結婚が決まり、山田さんは自宅の建て替えを計画していました。山田さんと同居していた2番目の姉は数年前に亡くなったため、自宅で生活しているのは山田さんの家族だけです。

 

ただ、山田さんの長男夫婦が希望する建物を建築するには、かなり高額な費用がかかります。そのため、敷地の一部を売却して費用に充当しようと考えています。不動産会社に相談すると、見積は予想を上回っていたため山田さんは喜び、その見積を出した不動産会社に、土地の一部売却から自宅建築まで一連の計画を任せることにしました。


ところが、ここにきて問題になったのが自宅不動産の名義です。じつは2番目の姉が亡くなったとき、名義変更をしていなかったのです。しかし、現状のままでは売却できないため、ほかの相続人に連絡して土地の登記をやり直すことになりました。

 

亡くなった姉の相続人は、山田さんと山田さん1番目の姉ですが、その姉も随分前に亡くなっているため、姉の子ども2人が代襲相続人となります。2番目の姉の名義を変えるには、相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。

 

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本記事は、株式会社夢相続のサイト掲載された事例を転載・再編集したものです。

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