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老人ホームの本当に見るべきところとは?
老人ホームには、さまざまなスタッフが働いています。多くの入居希望の方は、老人ホームの見学時に、介護や看護職員など介護を直接担っている職員の仕事ぶりばかりに着目してしまいがちです。しかし、重要な着目点は、それ以外のところにあるものです。
たとえば、営繕業務をやっている職員がいる場合は、その職員はどんな人なのか? 給食は委託なのか自前なのか? ホーム内の清掃は誰がやっているのか? ホームに配置されているケアマネジャー、生活相談員、事務職員はどのような人たちなのか? そして何より、入居者の生活の様子はどうなのか? ということです。
多くの老人ホームでは、営繕職員の主な仕事は、送迎時の自動車運転や設備、備品の修理や交換作業などのメンテナンス業務がほとんどです。つまり、老人ホーム内の便利屋さんです。エアコンのフィルターの清掃や車いすのパンク修理、汚物の搬出や花壇の手入れなどなどです。
当然、多くの入居者と接点やかかわりを持っていて、入居者の情報はもとより、介護職員などの情報も実に多くを持っています。
私は、老人ホームに訪問に行った時など、営繕職員を見つけては、たわいもない話をするのですが、その内容で、当該ホームの介護の質は、おおむね「わかる」と考えています。
「うちのホームは、感染症に気をつけているので、ホーム長から汚物の搬出は、必ず、ポリ袋を三重にして、さらに、入居者が使用しているエレベーターは使用してはダメなんですよ。だから、非常階段を使うので大変です」などと言っているホームは、しっかりしています。
つまり、家にたとえると、介護職員など介護を直接担当している職員は、内装や家具です。営繕職員や事務系職員は、見えない基礎や土台です。しかし、本当に良い家は、基礎や土台など見えないところまで手を抜かずしっかりできています。
営繕職員のような主役ではない職員まで、しっかりと介護流派が浸透していると、このホームは、自分たちのスタンスをしっかり理解し、実践しているホームだということがわかるのです。
そして、この流儀流派が、実は老人ホームを選ぶ時に特に重要な要因であるということになります。私は長年、老人ホームの営業戦略というテーマでセミナーをしていますが、その中で、老人ホームには「ショーウインドー化」が重要だと言ってきました。
しかし、なかなかスムーズに「ショーウィンドー化」に取り組む老人ホームはありません。なお、老人ホームの「ショーウィンドー化」とは、言い方を変えれば、老人ホームの流派の「見える化」ということでもあります。そして、その見える化の最大のポイントは、介護職員と入居者の実態の見える化なのです。だから、老人ホームを選ぶ際は、必ず現地を確認することが重要になるのです。
小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役
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