(※写真はイメージです/PIXTA)

子どものため、孫のためを思ってかけた言葉や提案が、思いもよらない強い拒絶を生んでしまう——。その背景にあるのは、親世代と子世代のあいだに存在する「暮らしや家計の当たり前」の大きなギャップです。本記事では、Aさんの事例から、合同会社ミコサポ代表の三藤桂子FPが良好な親子関係を保つために理解しておくべき家計の現実を紐解きます。※事例はプライバシー保護のため、一部脚色しています。

「夫が外で働き、妻が家庭を守る」…親夫婦の“当たり前”

75歳のAさんは、都内から少し離れたところにある戸建てで妻と二人で暮らしています。60歳で定年を迎え、再雇用で65歳まで働きました。年金は夫婦あわせて月約22万円で、住宅ローンもなく、贅沢しなければ年金のみで日常生活は賄っていけそうです。

 

妻とは20代のころ同じ職場で出会い、いわゆる職場結婚で結ばれました。二人が若いころは、「夫が外で働き、妻が家庭を守る」という考え方が主流で、Aさん夫婦も例外ではなく、妻は結婚を機に退職後、専業主婦として家庭を支えてきました。

 

夫婦には一人息子のCさん(現在49歳)がいます。Cさんは大学卒業後、都内の企業に就職。その後、取引先のご縁で知り合った3歳年下の女性と29歳のときに結婚しました。Cさんの結婚が決まった際、Aさんは相手が仕事を辞めないことに違和感を抱きましたが、「子どもができれば辞めるだろう」と思っていました。

 

Aさん夫婦の住まいは広々としていて、息子家族も一緒に住めるような作り。そのため、年に1~2回息子夫婦が帰省した際にはいつも、「いつでも一緒に住む用意はできている」と話をしていました。

 

Cさんの妻・Dさんは愛想笑いをして頷くだけでしたが、Aさん夫婦にとってはそれが同意の証のように思えていました。

孫に会いたい…息子夫婦の帰省を待ちきれず東京へ

一方、Cさん夫婦のあいだでは、「結婚しても子どもが生まれても仕事を続ける」というのが、妻からの結婚の条件。もちろんCさんも、「いまは共働き夫婦が当たり前だし、お互いに協力して頑張ろう」と快諾していました。

 

それからしばらくして、結婚後なかなか子どもに恵まれなかったCさん夫婦に子どもが生まれました。Aさん夫婦にとっては、待望の初孫です。

 

近年は、育児介護休業法が大きく変わり、女性が産後休業をしているときに、夫も育児に参加できるよう、「産後パパ育休(出生時育児休業)」が取れるようになりました。Cさんも育休を取得し、夫婦で育児に奮闘します。

 

孫が生まれたのになかなか帰省してこなくなった息子たちにしびれを切らし、Aさん夫婦は自ら東京へ。息子のマンションに向かうと、Cさん夫婦は少し疲れた表情でしたが、手厚くもてなしてくれました。

 

Aさん夫婦は、孫の可愛さに舞い上がり、後ろ髪を引かれるように帰宅。それからというもの、「孫の顔が見たい」と、Cさんの会社が夏季休業になるお盆の時期は息子の家を訪問するように。それまでCさん夫婦の帰省は不規則でしたが、夏はAさん夫婦が都内の息子の家を訪問し、GWと年末年始はCさん一家が実家を訪ね、そのたびに夫婦は「うち(実家)のほうがゆっくり育てられる」「私たちも育児を手伝える」などと同居を匂わせていました。

 

次ページ初孫誕生から7年後、息子が告げた“ひと言”

※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。

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