常に社内外の目にさらされている経営者
「池田さん、元気ないね。何かあったの?」
ある時、地域の経営者の会合で、顔見知りの社長にそう聞かれました。
「ちょっと忙しくしていましてね、寝不足なんです」
とっさに笑ってごまかしましたが、この時、周りの人にも分かるほど、自分が疲れた表情をしていたのだと自覚しました。従業員にも、私が抱えている不安、恐怖、絶望感、失意など、あらゆるネガティブな感情が伝わっているはずです。
当初こそ、楽しくペンキ塗りをしていた従業員も、そろそろ飽きてきています。本来の仕事ができない状態を不安に感じ始めている人もいますし、そもそも社長が先行きを不安視している会社で、働き続けたいと思う従業員はいません。そう気がついて、私は気持ちを入れ替えないといけないと思いました。
経営者は見られています。社外にも社内にも影響を与えます。全社一丸となって危機を乗り越えていくために、気持ちを前向きに、言葉も行動も前向きにしなければならないと思ったのです。
赤字解消の打開策は相変わらず浮かびませんでしたが、不眠症については、ちょっとしたきっかけで解決の糸口が見つかりました。工場内の片付けをした日、その作業が慣れない作業だったこともあり、すっかり疲れ切って帰宅しました。すると、その夜はすぐ眠りに入ることができ、明け方、さわやかな朝を迎えることができました。
「こんなにぐっすり寝たのはいつぶりだろう」
そう感動するくらい久しぶりの快眠でした。その勢いに乗って気分良く出社すると、自分でも分かるくらい、いい声で従業員に挨拶でき、自然と楽しく会話することができました。
「人間の体は正直だな」と、その時に思いました。解決できない悩みがあっても、体が疲れていれば眠れます。しっかり眠れば気分が良くなり、翌日は心理的にも体力的にも回復するものなのだと、身をもって理解したのです。
同時に、かつて読んだ本の一文を思い出しました。その本には、狩りに出かける生き物は4足より2足で移動するのが望ましい、ということが書いてありました。両手が自由に使えれば、たくさん獲物を持って帰ることができ、一度の狩りで遠くまで行くことができます。
そこにヒントを得て、この日から毎日、散歩することにしました。散歩で体が疲れれば、その日はよく眠れるはずです。狩りに出る生き物のように遠くまで歩くことによって、経営再生のヒントが見つかるかもしれません。少なくとも、工場内で悶々と考えるよりは思考も視野も広がります。
今思えば、おかしな理屈です。しかし、ほかに妙案がなく、時間だけは十分にあった私は、この日から毎日、自宅から札幌の中心部まで、約5キロメートルの道を散歩することにしたのです。
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