新商品開発、全従業員参加の取り組みへ
新商品開発は、工場の新商品開発チームが中心となって取り組みました。しかし、他部署の従業員も味見や味の改善提案に加わっていたため、この取り組みは、全従業員の取り組みでもありました。
事務所の休憩室のテーブルには毎日のように試作品が並びます。営業担当者が食べ、経理や総務の担当者たちも食べ、「もうちょっとこうしたほうがいい」「こんな味にできないか」といった意見を出し合います。チョコ菓子や甘納豆に挑戦していた時とは、雰囲気も意気込みも明らかに違いました。
中小企業の場合、ワンマン社長が強引に引っ張っていくほうが、スピード感が出て、うまくいくケースもあります。しかし、ものづくりはワンマンではいけません。従業員それぞれが技術、経験、意見、感想を持ち寄り、集結させることが大事なのです。
新商品開発が着々と進んでいく一方で、私はもう一つ決断します。それは、自社ショップ出店の再挑戦です。前回の失敗から10年という時間を経て、今度こそ消費者と直接接点が持てる場を作り出そうと思ったのです。
前回の時と異なるのは、ショップ展開をすればお客さんが来てくれるという確信があった点です。前回と同じ失敗を繰り返さないように、今回は小売業や店作りのイロハをきちんと学んでいたのです。出店にかかる費用や手間を抑えるために、店舗は工場に隣接して作り、また、あらゆる商品を試食できるようにしました。
菓子メーカーとして、消費者の声を聞き、ニーズを探ることが大事という考えは以前から変わっていません。特に今は、バターピーナッツから離れ、新たな商品を開発しています。最終消費者であるお客さんが、どんな味を好み、どんな反応をするかを見る場として、自社ショップを持つ重要性がより高まっていました。
店舗はやはり重要です。店を訪れるお客さんが、何を試食し、何を買っていくか見ることにより、売れそうな商品と改善が必要な商品がきれいに判別できるようになります。
我々は問屋や飲食店に商品を納入するBtoB事業ですので、どうしても問屋や飲食店にウケる商品作りを意識します。売れ行きは価格に影響され、味よりも価格で買われる部分もあるため、原価を抑え、なるべく大量に売れる商品を作ろうとします。事業としては、それも大事です。
ただ、その先には、実際に菓子を食べるお客さんがいます。重要なのは、彼らが「美味しい」「また食べたい」と評価してくれる菓子を作ることです。
自社ショップを持ったことで、消費者を見て、消費者に評価される商品を作る姿勢が培われていきました。これがのちに、B to Cの小売り事業をスタートする礎になるのです。
池田 光司
池田食品株式会社 代表取締役社長
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