「工場にいくらでもあるじゃないか?」従業員がわざわざ〈店舗で買った自社商品〉を食べていたワケ

「工場にいくらでもあるじゃないか?」従業員がわざわざ〈店舗で買った自社商品〉を食べていたワケ

多くの波をかいくぐり、いよいよ自社ブランドで勝負することになった北海道の豆菓子店。自社名が表に出ることにより、従業員たちの姿勢もこれまでと大きく変化することになります。店舗運営で顧客と直接接点を持つことからビジネスチャンスも広がり、二代目社長が就任して初めて「追い風」が吹いてきました。

従業員の責任感とプロ意識を伸ばした、決定的な出来事

会社と商品がお客さんに認知されていくなかで、社内でも変化が起き始めます。ある時、休憩室のテーブルの上に商品が開封済みの状態で置いてあるのを見かけました。試食用の豆菓子は包装していませんので、袋入りのその商品は、店舗で買ってきたものです。

 

「工場でいくらでも手に入る豆菓子を、なぜ店で買ってきたのだろうか……」

 

不思議に思って近くにいた従業員に聞いてみると、実際に売られている商品の味を確認するために工場の従業員が買ってきたのだと分かりました。

 

豆菓子は、菓子類の中でも比較的日持ちします。しかし、工場で試食する出来立てのものと比べると、包装し、店舗に出している商品は、もしかしたら味が落ちているかもしれません。それを確かめるために、わざわざショップへ行き、買ってきたというわけです。このような行動は、OEM仕事のころには見られませんでした。

 

メーカーに納品した後、どこで、どのような形で流通するか分かりませんでしたし、そもそも納品後の商品について関心が薄かったため、味を確認してみようという思いに至らなかったのです。

 

別の言い方をすれば、OEM仕事で社名が表に出ないことが、味に対する責任を持たなくて良いという口実となり、隠れ蓑になっていたということです。その意識が確実に変わったと、私はこの時に気がつきました。

 

自社ブランドは社名が表に出ます。「美味しい」「美味しくない」といった評価が会社と商品の評価に直接影響します。そのことを現場の従業員が理解したことにより、私の会社のブランドはもっと成長し、もっと強くなるだろうと思いました。従業員のモチベーションを高め、やりがいを作り出すための取り組みは、彼らの責任感とプロ意識を伸ばすことにつながっていったのです。

 

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小さな豆屋の反逆 田舎の菓子製造業が貫いたレジリエンス経営

小さな豆屋の反逆 田舎の菓子製造業が貫いたレジリエンス経営

池田 光司

詩想社

価格競争や人材不足、災害やコロナ禍のような外部環境の変化によって多くの中小企業が苦境に立たされています。 創業74年を迎える老舗豆菓子メーカーの池田食品も例外ではなく、何度も経営の危機に直面しました。中国からの…

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