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「愛されて育つ」という強さ
■算数は得意なはずなのに……
子どもが得意科目でつまずいてしまったとき、その教科を嫌いになりかけたときに、親としてどのようにフォローするのがベストでしょうか。
「算数は、できるはずだから大丈夫」
「やればできるでしょ」
そういった言葉で自信を取り戻してくれればよいのですが、それでもうまくいかないと、親自身に焦りが生じ、しだいに叱責口調になることもあります。これでは、自信を回復させるのは非常に困難です。
「私は自分に価値があると思うときにだけ、勇気を持てる」
と、アドラーは語っています。
子どもの勉強に置き換えれば、勉強が嫌いになるのは、勉強そのものが難しいというよりも、自分自身に価値があると思えなくなっている可能性があります。
親が思っているように、子どもには確実に算数の問題をクリアする能力があります。
しかし、子どもは、算数に向き合わないという「決心」をして、その決心を正当化するために、自分に価値がないという理由づけをしているのです。
親として優先すべきは、まず子ども自身に価値があると思わせることです。これこそがアドラー心理学でいうところの「勇気づけ」です。
「自分は生きている価値がある人間だ」という明確な自信の裏づけとなるのは、親から愛されているという実感です。
精神分析学の世界では「愛されて育った子どもは偉くなりたいと望む確率が高い」とされています。
「親に愛されている」「大事に思われている」と実感している子どもは、親を泣かせるようなことをしてはいけない、親を喜ばせるようなことをしたいという意識を持つようになります。
つまり、自信を持って勉強に取り組むだけでなく、世の中で生き抜いていくこともできるようになるのです。