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地元にどんな働き口があるか分からない
多くの人たちがさまざまな動機や理由から30代でのUターン転職を希望し、実際の職探しを始めます。ところが、思ったようにはうまく転職活動が進まず断念する人や、転職はしたものの失敗して後悔する人が後を絶ちません。
Uターン転職には、越えなければならない課題がいくつもあるからです。正しい情報と手順に従って進めればいずれもクリアできるのですが、それを知らないと挫折したり諦めたりしてしまうリスクを孕んでいます。
単身でのUターン転職なら失敗してもリカバリーが効きますが、家族を連れてのUターン転職で失敗すると、再び都会に戻ってやり直しをするにも、また引っ越しや転校などのハードルがあって困難を極めます。
希望どおりのUターン転職を叶えられない要因は大きく6つあります。
①つめは、自分の地元にどんな企業があるのか情報がつかめないことです。上場企業が非常に少なく、ほとんどが非上場企業のため企業情報が公開されていません。求人情報も公にしていない会社も多くあるのです。
②つめは、自分の希望に合う働き口が見つからないというケースです。大手の転職サイトで検索しても、一件もヒットしないというのは「Uターン転職のあるある」です。
③つめは、自身のなかで転職理由が明確でないために漠然とした転職活動となり、面接で失敗しがちなことです。
④つめは、今の仕事がキツく地方であれば楽な仕事ができるだろうという動機でUターン転職をしようとしている場合です。採用する企業側も「前の会社が嫌なので地元に戻って来た」と言われても困ります。
⑤つめは、妻または夫、地元にいる両親などから反対されているケースです。家族の同意が得られないと、本人の希望だけではなかなか実現しにくいものです。
⑥つめは、Uターン転職はしてみたものの、理想と現実のギャップから後悔したり、うまくいかなかったりするケースです。
これらのうち一つでもあると幸せなUターン転職は遠ざかっていきます。失敗を回避するためにも、一つひとつの要因について掘り下げて考えてみます。
①地元の企業情報がない
Uターン転職をしようとする人の最初のアクションに職探しがあるわけですが、「自分の地元でどんな働き口があるか」と考えるとほとんど思い浮かばないという人が大半です。
それもそのはずで、大学進学で都会に出た場合18歳で故郷を離れています。10代の頃は就活などまだまだ先の話ですから、どこにどんな企業があるかのアンテナを普通は立ててはいません。
思いつくのは親が勤める会社か、銀行、役所、医師や教師などの業務独占資格職、チェーン展開している小売業や飲食業、あとは新潟でいえば亀田製菓、長野ではセイコーエプソン、富山ならYKKのように知名度の高い一流企業くらいです。中小企業となると、ほとんど知らないのではないかと思います。
実家の両親や地元で暮らす友達などに聞いても、同じような企業の名前しか出てこず有益な情報にはならないことが予想されます。本当は地方にも業績の良い中小企業や魅力的な会社はたくさん存在するのですが、大手企業のようにPRをしたり、大手の転職サイトに採用広告を出したりするわけではないので、なかなか表に情報が出てきにくいのです。
そのため、最初から「うちの地元なんて大した働き口がない」という諦めモードで転職活動をスタートすることになります。そして、インターネットでざっと地元のハローワークや自治体がやっているUターン支援サイトなどをさらってみても、これといった企業がヒットしないのでその認識が強くなってしまいがちです。