Uターン転職の理由や動機があいまい
②今の収入、職種、ポジションへのこだわり
多くの転職希望者は、リクルートやマイナビなど大手の転職サイトや大手転職エージェントに会員登録して詳しく仕事検索しています。
希望の勤務地、年収、職種、雇用形態などの条件を入力して検索をかけますが、年収やポジションなどがハイクラスの人ほどヒット件数が少なくなります。例えば「年収800万円以上、社内SE、管理職」といった条件は都会なら何社もヒットするのですが、地方になると検索結果がゼロ件ということも珍しくないのです。複数の大手転職サイトに登録してみても似たり寄ったりの情報しか出てきません。
大手の転職エージェントならサイトには出ない耳よりな情報をもっているかもしれないと期待して相談してみても、「ご希望の条件では難しいですね。都内ならたくさん紹介できるのですが……」と返されるなど、あまり成果は見込めないことが多いです。
こういう場合、Uターンが目的なので勤務地については地元以外に譲れませんが、年収や役職などはどこまでこだわるか悩ましいところです。
仮に年収を600万円にすればヒットする可能性が出てきますが、200万円も少なくなると今の生活レベルは維持できないと考えて候補から外してしまうケースが多いのです。
社内SEの管理職という仕事についても、地方企業で情報システム専門の部署が社内にあり管理職を必要とするほど人員を多く抱えているところは多くありません。地方の中小企業では社内情報システム系の仕事は首都圏や地元のIT企業に外注していたり、内勤が必要な場合も外部から派遣を受けていたりするケースが多いからです。
かといって、ずっと社内SEをやってきた人が営業職なら採用があるからと職種変更することは容易ではありません。私もたくさんのUターン転職の相談を受けてきましたが、ここで行き詰まって職探しを一旦保留したという人も少なくありません。情報量の多い大手転職サイトや転職エージェントで見つからないならほかで探しても同じと考えて、とりあえず待つ選択をするのです。
「そのうちエージェントから連絡がくるだろう」とか、「子どもの入学まではまだ時間があるから、とりあえず希望条件の転職先が出てくるまで待ってみよう」と待機しても結局いつまで経っても案内メールが届かないのです。
いよいよ子どもが学齢に近くなり焦って転職活動を再開するものの、やはり希望する条件では転職が難しく、困って私の会社に相談に来る……というパターンが往々にしてあります。
③Uターン転職の理由や動機が漠然としている
なぜUターン転職をするのか、Uターン転職によって何を叶えたいのか、転職に当たって譲れない条件は何なのか、自分のスキルや特性を使ってどのように企業に貢献していきたいのかといったビジョンが明確でない場合も職探しは難航します。
年収や職種などの条件が合う企業が見つかっても、面接でこれらの質問をされたときに答えられなければ不採用となってしまいます。
あなたが面接官で、転職希望者になぜUターン転職するのか聞いたとして、「ワークライフバランスを大切にしたいからです」「休みやプライベートを充実させたいから」という答えが返ってきたとしたら、きっと疑問をもつはずです。プライベート重視もいいが、うちの会社で仕事に打ち込んでくれるのかと不安を感じてしまいます。
ワークライフバランス重視で自分や家族の時間を大切にしたいなら、企業への就職ではなくフリーランスなどもっと別の働き方を考えたほうがいいという話にもなります。地元に帰りプライベートを充実させたいという思いも、動機としては間違ってはいないのですが、企業側が聞きたいのはその先のもっと深い仕事観や人生観にまでつながるような転職動機です。
仕事に対する自身のスタンスやUターンを考えるに至った人生観まで、深い部分の動機や理由を自分の言葉で語り、相手に説得力を感じてもらうには、自身の内面の掘り下げがとても大事になってきます。この部分が浅い人は企業にとって魅力的な人材には見えないので、高確率で不採用の通知をもらうことになってしまいます。