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30代でUターンを考える理由は?
■子どもの小学校入学が一つのターニングポイント
このまま都会暮らしを続けるか、Uターンするか決断するタイミングとしては、結婚して小さな子どもがいる人の場合は子どもの小学校入学前が一つの大きな節目となります。小学校に入学してしまうと、子どもの交友関係や教育の一貫性などの問題でそうそう簡単には転校ができないからです。
子どもを保育園に通わせる年齢になると、どうしても周囲のママたちがどこの小学校を受験するか、どこの塾に通わせているかと聞いてきます。そうすると「うちの子も塾や習い事に通わせたほうがいいだろうか」「都会では私立の小学校でないと後れをとってしまうのかもしれない」と思えてくるものです。
その一方で「こんなに小さいうちから勉強させなくても……」「小学校までは勉強以外の遊びもたくさんさせたい」という思いが頭をもたげてきます。地方出身者は公立に通うのが一般的なので、自身が小学校受験を経験していないためです。そうなると必然的に「子どもをどこの小学校に通わせるか」が夫婦間の議題となり、引っ越しや転職は小学校入学までに決めることになります。
また、子どもが生まれるまでは賃貸住宅で暮らし、小学校入学をめどにマイホームを購入するというケースもよく聞きます。その場合も、今住んでいるあたりでファミリー向けの家を探すか故郷で探すかを決めなくてはなりません。第一子が6歳未満ということは、親の多くは30代くらいです。こうした理由から30代になるとUターン転職を考える人が増えるのです。
■地方の若者は7割が県外へ進学、そのまま就職
都会と地方、どちらが子どもの成育にとってベストかと考えるとき、地方出身者は自分の成育歴と照らして地方を選択する傾向があります。そもそも地方出身で大学進学のために上京して来た人たちの多くは学力が比較的高く、地元では偏差値の見合う大学が少ないために都会に出て来たという背景をもっています。
地方で偏差値が高い人たちが志望する地元大学といえば国公立くらいしかありません。
しかし、必ずしも地元の国公立大学に志望する学部や学科、有名教授がいるとは限らないので、どうしても大都市の大学へと流れます。交通の便が良く、遊ぶところもあって刺激の多い大都市のほうが若者には魅力的に映るため、首都圏や大阪などの都会に出てくることになるのです。
地方育ちの若者のうち、どれくらいの人が進学をきっかけに都会に出て行くかというと、新潟県では約7割、長野県では8割が県外に進学しています。
文部科学省の学校基本調査を基にした都道府県別の高校から大学への自県進学率をみても、38県で進学者の半数以上が県外に流出しています。8割以上が流出しているところも11県あります。
また、偏差値の高い大学を出ていれば就職にも有利に働きやすく、収入的にも恵まれている場合が多くなります。エリートの男性にはエリートの女性が話題や生活レベルが合いやすいので、夫婦そろってキャリア組でバリバリ共働きしているという例もよくあります。