(※写真はイメージです/PIXTA)

製品やサービスが普及するには一定の曲線が描かれます。普及のために乗り越えなければならない壁(溝)があります。iPhoneは大ヒットしたのが、AppleWatchは低迷しています。それはなぜでしょうか。コンサルタントの井口嘉則氏が著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

技術革新への対応が生存競争を勝ち抜く

現代の世の中は技術革新イノベーションが急速に進んでいます。イノベーションは、創造による破壊と言われていますが、新しいものを生み出すことによって、既存の製品・サービスや事業者が破壊されていきます。

 

例えば、音楽媒体は昔はレコードでしたが、1980年代にCDに変わり、2000年代に携帯音楽プレーヤーに変わり、現在はスマホの音楽プレーヤアプリで使われるデータや、音楽配信サービスとなってしまいました。これにより、レコードメーカーやCDメーカー、ショップがなくなって行きました。

 

技術革新が激しい業界では、このように生きるか死ぬかの生存競争になりますから、技術革新がどのように広がっていくかを知っておく必要があります。

 

ロジャースによれば、技術革新の普及曲線が下図のように描かれるといいます。横軸は時間軸で、左の方から技術革新の採用が早いグループで、右の方へ行くほど遅くなります。その分布は、中心線を0として、統計でいう正規分布となります。

 

すなわち、初期段階ではイノベーター(革新的採用者)と言われる人たちが市場の2.5%ぐらい居て、最初にその技術革新を採用します。つまり出始めの新商品(例えば、初期のiPhone)を購入するわけです。

 

それに続いて、彼らに触発されて初期少数採用者13.5%がその新商品を購入します。

 

そしてさらに、前期多数採用者34%、後期多数採用者34%が続き、最後に採用遅滞者16%が残ります。TVコマーシャルで、年配者向けにスマートフォンを宣伝しているのは、このガラケー好みの採用遅滞者向けに切り替えを促しているのです。

 

市場全体に普及する商品の場合は、このような経路をたどるのですが、その際に、その後のマーケットシェアは革新的採用者の段階でほぼ決まってしまうと言われています。日本ではもともとアップルファン(マッキントッシュ利用者)が多く、彼らが革新的採用者だったので、iPhoneのシェアが高くなりました。

 

このように普及初期の段階でマーケットシェアを取りその後の事実上の標準を取る戦略をデファクトスタンダード化戦略といいます。OSのWindowsやCPUのインテル等もその例です。

 

一方、新商品として登場するも、一部のマニア以外に普及が進まない製品もあります。Apple Watch等がその例ですが、それは、初期少数採用者と前期多数採用者の間にあるキャズム(深い溝)を越えられないからだといいます。

 

キャズムを超えるには、前期多数採用者が好むコストパフォーマンスがいいことが前提条件となります。Apple Watchは時計としてはコスパが悪かったのでしょう。

 

ロジャース普及曲線

 

ポイント
技術革新の激しい業界では、デファクトスタンダード化戦略をとる

 

井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表

 

 

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※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

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