社会情勢の変化やスピードに、どこまでついていけるか
企業の規模に関わらず、社会情勢の変化やスピードの速さに対応することも、企業にとっての課題です。
最近の事業環境はVUCAと呼ばれています。VUCAは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語で、事業を行っていくうえで未来を予測するのが難しい状態を意味します。予期しないことが予想しないタイミングで起きることが、当たり前の時代であるということです。
コロナ禍における社会の変化が分かりやすい例で、以前は出社して働くのが普通でしたが、今ではあらゆることをオンラインで行うようになりました。また、飲食業などは客足が激減し、休業や閉店に追い込まれる店が多発しました。
新型コロナウイルスの感染状況を見ながらもリモート環境などを着々と整えて、きちんとニューノーマル時代の経営に移行した企業もありますが、中小企業は想定外の事態に即座に対応できず、倒産危機にさらされてしまうケースも多いのです。
この傾向は以前からありました。業界内外の規制緩和で競合が増えたときや、グローバル化が進んで製品の多様化と価格競争が進んだとき、IT化によって業務の効率化が進んだときなどにおいても、中小企業は従来のビジネスモデルをなかなか変えることができず、対応が遅れて経営難となったケースがいくつもありました。最近ではアフターコロナのほか脱炭素やSDGs、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、多様性などが経営のビッグイシューといわれ、これらの分野でも中小企業が取り残されるのではないかと心配されています。
中小企業が社会の変化にうまく対応できないのは、対応するためのスピードと体力が不足しているからです。
変化が速い時代では消費者の求めるものも目まぐるしく変わりますが、それらは昔に比べて細分化・多様化しています。これも中小企業にとっては大きな課題で、追いかけるのが大変です。
大量生産と大量消費が普通だった高度経済成長期やバブル経済期であれば、たくさん作りたくさん売ることに集中していれば、それなりに事業ができました。しかし、今は消費者のニーズを細かく分析しなければなりません。世の中全体の求めるものだけではなく個人の興味の対象も調べ、そこから少し先の流行を予測し先手を打っていくことが求められているのです。
タピオカがいい例です。タピオカ屋が流行っているのを見て、「うちもタピオカをやろうかな」と思ったときには、すでにブームが終わっているような状態です。個々人の興味はすぐにほかへと移るため、そこから表面化した流行を見てから動くやり方では、やはり取り残されてしまうのです。
このような背景を考えると、変化が激しい時代を勝ち残っていくためには従来の事業や経営の構造を抜本的に見直して、自ら変革していくことに力を入れていかなければなりません。
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