バイデン政権1年の評価…追加経済対策やインフラ投資で成果も党内対立などから支持率は低迷、中間選挙に向け問われる真価

バイデン政権1年の評価…追加経済対策やインフラ投資で成果も党内対立などから支持率は低迷、中間選挙に向け問われる真価
(写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏がバイデン政権の1年を振り返り、その評価や22年11月に予定されている中間選挙の見通しについて解説します。※本記事は、ニッセイ基礎研究所の米国経済に関するレポートを転載したものです。

バイデン大統領の評価と中間選挙の見通し

(バイデン大統領の評価)大統領支持率は戦後歴代2番目の低さ

 

リアル・クリアポリティクスが様々な世論調査を集計したバイデン大統領の支持率は、就任当初の50%台半ばから低下し、足元では40%近辺で推移している[前掲図表1]。

 

同大統領の支持率は、就任当初は比較的堅調に推移していたものの、アフガニスタンからの米軍撤退の不手際が嫌気され8月に支持率が不支持率を下回り、その後もデルタ株の感染拡大やインフレ高進、前述のビルドバックベター法を巡る党内対立もあって支持率は低迷している。

 

就任1年目の支持率としては戦後歴代大統領の中でトランプ前大統領に次いで2番目の低さである。また、キニピアック大学による世論調査では、バイデン大統領の支持率が就任当初の49%から22年1月には33%の低い水準となっている[図表8]。

 

[図表8]バイデン政権に対する世論調査結果
[図表8]バイデン政権に対する世論調査結果

 

とくに、バイデン政権の政策評価では、コロナ対策の支持率が就任当初の60%台から直近では39%へ大幅に落ち込んでいるほか、経済政策や外交政策に関する支持率も軒並み30%台半ばと非常に厳しい評価となっている。

 

(中間選挙の見通し)ねじれ議会となる可能性が高く、バイデン政権は早くもレイムダック化へ

 

米国では22年11月に下院の全議席(435)、上院100議席の内、34議席が改選となる中間選挙を控えている。現状、民主党は下院で222議席と過半数を僅か5議席上回っているほか、上院は50議席と共和党と同議席数となっている。

 

戦後の中間選挙結果からは、大統領選挙で勝利した政党は最初の中間選挙で、下院で平均27議席、上院で同4議席減らす傾向があり、中間選挙は与党にとって不利であることが示されている。また、下院では民主党に不利になる議席配分や選挙区分の見直しが予定されており、民主党には逆風となっている。

 

一方、上院では改選議席の内、共和党議席が20議席と多くなっていることから、幾分民主党には有利となっている。

 

そのような中、民主党の政党支持率は21年10月以降、共和党を下回る状況が続いている[前掲図表1]。上院では幾分有利とは言え、支持率が回復しないまま中間選挙に突入した場合には、上下院で民主党が過半数を失い、23年以降は大統領と上下院の多数政党が異なる「ねじれ議会」となる可能性が高まっている。

 

バイデン政権は中間選挙に向けて政権運営の立て直しを図りたい所だが、支持率回復の糸口はつかめていない。仮に、ねじれ議会となる場合には、任期を半分残す中でもバイデン政権は早くもレイムダック化しよう。

 

 

窪谷 浩

ニッセイ基礎研究所

 

 

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本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年1月28日に公開したレポートを転載したものです。

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