バイデン政権1年の評価…追加経済対策やインフラ投資で成果も党内対立などから支持率は低迷、中間選挙に向け問われる真価

バイデン政権1年の評価…追加経済対策やインフラ投資で成果も党内対立などから支持率は低迷、中間選挙に向け問われる真価
(写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏がバイデン政権の1年を振り返り、その評価や22年11月に予定されている中間選挙の見通しについて解説します。※本記事は、ニッセイ基礎研究所の米国経済に関するレポートを転載したものです。

 

(ビルドバックベター法)下院通過も上院での可決の目途は立たない

 

インフラ投資と並び、バイデン政権が実現を目指す社会保障制度改革や気候変動を盛り込んだ大型歳出法案(ビルドバックベター法)については、財政調整措置を活用して民主党単独での成立を目指し、下院では民主党議員のみが賛成する形で歳出規模2.15兆ドルの法案を可決した。

 

同法案では気候変動対策費(5,700億ドル)や幼児教育無償化(3,800億ドル)、有給家族休暇(2,050億ドル)、児童税額控除(2,050億ドル)などが盛り込まれている[図表6]。

 

[図表6]「ビルドバックベター法」(下院可決)の概要
[図表6]「ビルドバックベター法」(下院可決)の概要

 

同法案の財源は大企業に対する最低税率の明確化(3,200億ドル)やグローバル企業に対する課税強化(2,800億ドル)、富裕層に対する課税強化(2,300億ドル)などで2兆ドル程度の財源を充当することが見込まれている。

 

同法案も当初は3.5兆ドルの歳出規模を想定していたものの、1議員の反対も許されない上院で民主党のマンチン議員とシネマ議員が規模の縮小を求めて反対したため、内容の大幅な見直しに至った経緯がある。

 

しかしながら、下院では可決したものの、両議院は更なる削減を求めて同法案に反対しているため、上院で採決される目途は立っていない。マンチン議員は規模を縮小した場合には賛成する意向を示していることから、今後上院で規模を縮小した修正案が議論されるとみられる。

 

もっとも、大幅な歳出規模の縮小を行う場合には、今度は下院で民主党議員の反対がでる可能性がある。一部報道では、バイデン大統領がビルドバックベター法を民主党内で合意可能な部分を分割して、法案を成立させる意向とされているが、今後の動向は非常に不透明である。

 

(インフレ高進)世論調査は70%がバイデン大統領のインフレ対応に不満

 

消費者物価(前年同月比)は総合指数が+7.0%と1982年6月以来およそ39年半ぶり、物価の基調を示すエネルギーと食料品を除いたコア指数も+5.5%と1991年3月以来およそ31年半ぶりの水準に上昇した[図表7]。

 

[図表7]消費者物価指数(主要指数)
[図表7]消費者物価指数(主要指数)

 

インフレ高進の要因はエネルギー価格や原材料価格、物流コストの上昇に加え、サプライチェーンの混乱などの供給制約もあって、財価格が大幅に上昇していることがある

※ インフレの動向については、「顕在化する米インフレリスク ー消費者物価は31年ぶりの水準に上昇。インフレは来年以降の低下予想も、長期間高止まりする可能性」を参照下さい


一方、1月中旬の世論調査ではバイデン政権がインフレに十分焦点を当てていないとの回答が65%に上るほか、バイデン大統領のインフレ対応への不支持が70%に上っている。
※ Biden at year one: Not enough focus on inflation leaves many frustrated - CBS News

 

また、経済が悪いと回答した人の80%が悪化の要因がインフレと指摘しており、米国民の不満が高まっている。もっとも、バイデン不支持と回答した人の63%が、インフレが低下したらバイデン大統領の評価が向上すると回答しており、インフレ抑制がバイデン政権にとって喫緊の課題となっている。

 

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本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年1月28日に公開したレポートを転載したものです。

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