バイデン政権1年の評価…追加経済対策やインフラ投資で成果も党内対立などから支持率は低迷、中間選挙に向け問われる真価

バイデン政権1年の評価…追加経済対策やインフラ投資で成果も党内対立などから支持率は低迷、中間選挙に向け問われる真価
(写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏がバイデン政権の1年を振り返り、その評価や22年11月に予定されている中間選挙の見通しについて解説します。※本記事は、ニッセイ基礎研究所の米国経済に関するレポートを転載したものです。

 

(インフラ投資)11月に総額1.2兆ドル(新規投資分:5,500億ドル)のインフラ投資法案が成立

 

バイデン政権が実現を目指す成長戦略のうち、インフラ投資では上院超党派で作成された今後5年間で総額1.2兆ドル規模(新規投資分:5,500億ドル)の「インフラ投資と雇用法」(以下、IIJA)が11月15日に成立した。

 

IIJAの採決では上院の賛成は69票(民主党50票、共和党19票)、下院の賛成は228票(民主党215票、共和党13票)と一部野党共和党議員も賛成にまわっており、超党派の支持により成立した。

 

インフラ投資では、当初2.6兆ドル規模の実現を目指していたが、議会審議の過程で研究開発・製造業支援(5,660億ドル)、公共住宅支援や公立学校の近代化(3870億ドル)、在宅、地域密着型ケアサービス労働者の待遇改善(4,000億ドル)、クリーンエネルギー税額控除(3,630億ドル)などが削除されたほか、全般的に予算規模が縮小された。

 

一方、IIJAの新規投資分である5,500億ドルには道路や橋の整備(1,100億ドル)、電力インフラ整備(730億ドル)、鉄道インフラ整備(660億ドル)、ブロードバンド網整備(650億ドル)などが盛り込まれた[図表3]。

 

[図表3]「インフラ投資と雇用法」の概要
[図表3]「インフラ投資と雇用法」の概要

 

IIJAの財源としては、新型コロナの経済対策として確保された予算のうち、未使用分(2,100億ドル)や失業保険の追加給付の未使用分(530億ドル)、メディケアの余剰金(510億ドル)などを活用し、財政均衡を目指すとしている。

 

もっとも、議会予算局は同法の実現に伴って、今後10年間に▲2,561億ドルの財政赤字が拡大するとの試算を示しており、財政均衡にはならない見通しだ。

 

IIJAも有権者の支持は高く、11月下旬に行われた世論調査では有権者の65%が支持しているほか、民主党支持者の88%、無党派層の60%が支持している。
※ https://navigatorresearch.org/wp-content/uploads/2021/11/Navigator-Update-11.30.2021.pdf?emci=fe11ef9d-5951-ec11-9820-a085fc31ac93&emdi=cebe729d-ca51-ec11-9820-a085fc31ac93&ceid=13979464

 

(雇用者数・失業率)21年の雇用増加数、失業率の低下幅ともに統計開始以来最高

 

非農業部門雇用者数は1月から12月までの年間累計でバイデン大統領が就任した21年が645万人と、新型コロナの影響で▲942万人減少した前年の反動もあって1950年以降で最も増加した年となった[図表4]。

 

[図表4]非農業部門雇用者数および失業率
[図表4]非農業部門雇用者数および失業率

 

また、失業率の1月から12月までの増減も21年が▲2.5%ポイントと、こちらも前年に新型コロナの影響で+3.2%ポイントと1950年以降で最大の上昇幅となった反動もあって、最大の低下幅となった。

 

一方、労働市場は堅調な労働需要に対して、新型コロナに伴う家族の介護や新型コロナ罹患リスクへの懸念などを背景に労働供給の回復が遅れており、人手不足が深刻化している。この結果、労働需給の逼迫から賃金上昇がインフレ高進の要因となる懸念もでているため、労働市場の回復が必ずしもバイデン大統領の評価に繋がっていない。

 

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本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年1月28日に公開したレポートを転載したものです。

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