お客の真のニーズはどのように掴めばいいか
(3)位置づけ(Positioning)を明確化する
ポジショニングでよく使用するのが、ポジショニングマップというもので、縦横2軸に切って、その中での自社製品・サービスの位置づけを決めるというものです(図参照)。
この例では、横軸が自然派志向が強いか弱いか、縦軸がブランド志向が強いか弱いかとなっていて、それに対して大手ブランド化粧品はブランド志向が強いが、自然派志向は強くなく、自然派ブランド化粧品は、ブランド・自然派志向共に強いとなります。これに対して、この新規事業では、最初からブランドはないので、自然派志向が強いが、さほどブランドは気にしない層をターゲットにしようというポジショニングをしています。
ポジショニングで重要になるのが、他の類似または競合との違いです。違いが少ない場合は、差別化しにくくなるので、ニーズに対応した違いが明確にでるように知覚マップを描き、位置づけを検討していきます。
通常、位置づけの中でもっとも重要になる要素が価格変数です。どんなものにも安い方がいいという人たちはいますし、高くてもいいものの方がいいという人たちもいます。位置づけを行う際には価格面での違いにも留意した方がいいでしょう。
(4)ニーズとウォンツ
ニーズと似た言葉にウォンツがあります。両者の関係は、ニーズは目的系なのに対して、ウォンツは手段系に属します。例えば、「喉が渇いたのでお茶を飲みたい」はニーズで、「ペットボトルのお茶を買いたい」はウォンツにあたるということです。
お客様は、とかく自分で手段を考えて、ウォンツを口にすることが多いですが、それに応えるのも一法ではあるものの、その裏に隠れた真のニーズを探り当てることの方がもっと重要です。特にB2Bビジネスでは、直接お客様のニーズを聞く機会があるので、「△△が欲しい」というウォンツだけ聞いて「はい、そうですか。」と帰って来るのではなく、「ところで、なぜ△△が必要なのですか?」とその裏にあるニーズを聞き出す必要があります。問題解決型のソリューション営業というのは、そのように行います。
(5)ニーズのカテゴリー
ニーズには、より便利にとか、より安くとか、より快適に、より速く、より便利に等人間の欲求に基づいたいろいろなものがあります。一般に世の中の製品・サービスは、より良くなればより高くなるというようにニーズ同士がトレードオフの関係になることが多いので、新製品・サービスを検討する際には、そのトレードオフ関係を打ち破ったようなものを出すとヒットすることが多いです。ユニクロの製品にはそうしたものが多いですね。ものがいいのに安いとか。
(6)顕在ニーズと潜在ニーズ
ニーズにも、顕在ニーズと潜在ニーズとがあります。顕在ニーズとは、すでにそのニーズが表立って現れているということで、例えば、夏場でも蒸れないマスクが欲しいとか、冬場でも寒くない下着が欲しいとかいうものです。
それに対して潜在ニーズというのは、まだ表立って出てはいないが、そういう商品が出てくると、実は欲しかったというようなものです。Web会議システムZoomのバーチャル背景などはその例ではないでしょうか。(潜在ニーズのことをウォンツと呼ぶ呼び方もあります)
ターゲット顧客はSTPで具体化し、そのニーズを掴む
井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表
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