(※写真はイメージです/PIXTA)

顧客ニーズが絶えず変化し商品の寿命が短くなっている現代の新規事業開発では、いかに短期間で仮説検証を繰り返し、市場に受け入れられる商品や事業を創り上げられるかが重要です。著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

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新規事業はサプライヤーと検証を行う

マーケティングでは、以下の4つの問いに答えられるようにマーケティング要素を具体化する必要があると言われています。

 

1.売れるか、2.作れるか、3.勝てるか、4.儲かるか。

 

マーケティングの4つの問いの2つ目は、2.作れるかです。この項は、作れるかについて見ていきます。

 

製品・サービスは、どんなものも自社だけでは作れませんので、必ずサプライヤーまたはパートナー企業が必要です。

 

(1)メーカーのサプライヤー

メーカー(製造業)のサプライヤーには、原材料メーカーや部品メーカー、ライン等機械の設備メーカー、エネルギー等のインフラ供給会社(電力・ガス・水道事業者)がありますが、新製品・サービスを成り立たせるために必要なサプライヤーとそのシーズを具体化し、取引見込み先の当てを付ける必要があります。

 

(2)小売業のサプライヤー

小売業のサプライヤーには、商品の仕入先、加工業者、包装資材メーカー、店舗什器メーカー、レジ等の会計機器メーカー、物流企業等があります。近年は、単品管理等のきめ細かな管理が必要になってきていますから、情報システム会社も重要なパートナー企業の一つといえます。またクレジット決済やICカード決済、QRコード決済等様々な決済方法に対応するために決済企業もパートナー企業となりえます。

 

(3)サービス業のサプライヤー

サービス業、例えば情報システムサービス会社を例にとると、サプライヤーは、ハードウェアメーカーやソフトウェアメーカーだけでなく、不足する人的リソースを補うために、パートナー企業が重要なサプライヤーとなっています。多くの情報システム会社が自社の社員と同数かそれ以上のパートナー社員の協力を得ているのが日本の現状です。

 

(4)サプライヤーのシーズ

シーズとは種のことですが、サプライヤーがどのような強みを持っているのか、自社と補完関係にあるのか、商品・サービスを成り立たせるのに必要なシーズなのか、継続的な調達が行えるのか等をよく検討してサプライヤー選びを行う必要があります。

 

(5)キャパシティの調整弁

情報システム会社の例でみたように、通称ビジネスパートナー(BP)と呼ばれるパートナー企業は、自社キャパシティ(供給能力)の調整弁的な役割も担っています。繁忙期には、多くのパートナー社員を使ってたくさんの仕事をこなし、閑散期にはパートナー数を減らして、自社社員中心に作業を行う等がその例です。

 

小売業などでも、自社物流が主体の企業でも、オーバフローすれば他の物流企業や外部倉庫を使う等協力先を活用しているケースもあります。

 

(6)競合先か協力先か

パートナー企業は、一見競合先となりうるような例もあります。例えば、自動車メーカーの中には、自社のラインナップに軽自動車がないために、軽自動車を製造する競合他社からOEM供給を受けているようなケースがあります。

 

このように、競合他社も場合によってはパートナー企業ともなりうるものなので、ふだんから敵対的にならないように、いざとなったら手を結べる関係を構築しておくことが必要です。

 

新規事業のケースでも、競合先としてインタビューに行った先から逆に提携の提案が持ち込まれて、結果として提携によって新規事業が始まったことがありました。

 

ポイント
必要なサプライヤーとそのシーズの当てをつける

 

次ページ新規事業はトライアルで実現可能性の裏付けを取る

※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

経営環境が激変する最悪シナリオを乗り切る「事業計画書」の立て方・作り方とは? 「ビジョン・戦略立案フレームワーク」で何を/どの段階で行うかがわかる“これからの”実践教科書。 コロナ禍にあっても、事業計画の立…

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